「金沢は寒い地域」はもう半分しか正解じゃない。データが語る、これからの金沢に必要な断熱の話
金沢で家づくりを考え始めたとき、多くの方が最初に思い浮かべるのは「冬の寒さ」ではないでしょうか。雪、湿気、底冷え。金沢で育った方なら、朝起きて布団から出るのがつらい感覚を体で覚えているはずです。
だからこそ「断熱はしっかりしたい」と考えるのは自然なことです。ただ、私たちメープルホームは、いま金沢で家を建てる方に、もうひとつお伝えしたいことがあります。
金沢の気候は、この25年で大きく変わりました。
今回は、金沢とその周辺(野々市・白山・かほく・津幡・内灘)の公的データを読み解きながら、「この地域だからこそ必要な断熱」について、お話しします。
年平均気温は25年で+1.8℃。金沢は今、東京・大阪と同じ温暖度
気象庁の金沢観測所のデータを見ると、2000年の年平均気温は14.5℃でした。ところが2023年には観測史上最高の16.6℃を記録し、2024年も16.5℃。25年で約1.8℃上昇しています。
この16.5℃という数字は、現在の東京・大阪(16.5〜16.8℃)とほとんど同じです。「金沢=雪国=寒冷地」というイメージは、少なくとも夏に関してはすでに過去のものになりつつあります。
もっと分かりやすい数字を挙げましょう。
- 真夏日(30℃以上):2000年 45日 → 2024年 79日
- 猛暑日(35℃以上):2000年 3日 → 2024年 22日
- 最深積雪:2000年 38cm → 2024年 18cm
猛暑日は7倍。積雪は半分以下。つまり、これから金沢で建てる家は「冬の寒さを防ぐ家」であると同時に、「夏の暑さから家族を守る家」でなければならないのです。
断熱は「冬のため」だけではない、という当たり前の話
ここで少し、断熱の基本に戻ります。
断熱材の役割は「熱を伝えにくくする」こと。冬は室内の暖かさを外に逃がさず、夏は外の熱を室内に入れない。断熱性能が高い家は、冬だけでなく夏も効くのです。
ただし、夏には冬と違う敵がいます。それが日射です。
金沢の緯度(北緯36.56°)で計算すると、夏至の正午の太陽高度は約77°、冬至は約30°。その差は47°もあります。これは実は設計上とてもありがたい数字で、南面に900mm前後の庇を出せば、夏は窓の上半分を日陰にしながら、冬は床の奥2.5mまで日射を取り込める、ということが幾何学的に成り立ちます。
つまり金沢の家は、「高い断熱性能」×「日射をコントロールする設計」の両方が揃ってはじめて、夏も冬も快適になります。どちらか一方だけでは、これからの金沢の気候には足りません。
メープルホームが「パッシブZEH」という考え方を大切にしているのは、まさにこの理由からです。風や太陽の光といった自然の力を最大限に生かす設計と、それを支える断熱・気密性能。この2つを切り離さずに考えるのが、私たちの家づくりの土台です。
メープルホームの断熱:スーパーウォール工法という選択
私たちが標準で採用しているのが、LIXILのスーパーウォール(SW)工法です。
SW工法の断熱材は硬質ウレタンフォーム。一般的なグラスウールと比べて熱を通しにくく、パネルとして工場生産されるため、現場での施工ムラが出にくいのが特徴です。断熱材は「何を使うか」以上に「隙間なく施工できているか」で性能が決まります。職人の腕に左右されにくい工法を選ぶこと自体が、性能へのこだわりです。
性能の目安としては、HEAT20 G2グレード(UA値0.46以下)を基準にしています。これは国の省エネ基準(UA値0.87)よりはるかに高い水準で、「暖房を止めても翌朝の室温が15℃前後に保たれる」レベルの断熱性能です。
そしてもうひとつ、私たちが譲らないのが全棟気密測定です。どれだけ良い断熱材を入れても、隙間があれば熱は漏れます。一棟一棟、実際に測定して数値をお客様にお見せする。「たぶん暖かいはず」ではなく「この数値だから暖かい」と言えることを、私たちは大切にしています。
実際にお住まいのご家族からは、「エアコンのあるLDKと脱衣所の温度差が1℃ほど」「お風呂上がりに子どもを着替えさせるときに寒い思いをしなくなった」という声をいただいています。
共働き・子ども2人の家庭にとって、断熱は「お金」の話でもある
30〜40代、共働きでお子さんが2人。この世代の家づくりで一番現実的な悩みは、やはり予算です。
金沢市の世帯年収は平均で513万円、30〜40代では520〜640万円程度。土地と建物で4,000万円を超える計画は、決して楽ではありません。「断熱にお金をかける余裕なんてない」と感じる方もいるでしょう。
でも、少し視点を変えてみてください。
住宅ローンは35年。その35年間、毎月払い続けるのはローンだけではなく光熱費もです。金沢の夏が東京並みに暑くなり、冷房を使う期間が伸びている今、断熱の弱い家は「安く建てて、高く住む」家になります。
断熱性能を上げることで冷暖房費を抑え、太陽光発電と組み合わせれば、月々の光熱費を大きく減らすことも可能です。実際に、以前のアパートで電気代とガス代が月3万5千円かかっていたご家族が、光熱費ゼロに近い暮らしを実現された例もあります。
初期費用だけでなく、「建ててからの35年でいくら払うか」で比べる。これが、共働き世代にとって本当の意味で賢い家づくりだと私たちは考えています。
災害の記録が教える「性能の高い家」のもうひとつの意味
金沢周辺では、2000年以降だけで台風・地震・豪雨・豪雪など10件の重大災害が記録されています。2008年の浅野川豪雨、2018年の北陸豪雪、そして2024年の能登半島地震。金沢市内でも震度5強を観測し、隣の内灘町では液状化による大きな被害が出ました。
「金沢は災害が少ない」という前提は、もう通用しません。
ここで断熱・気密の話に戻ります。災害時に停電や断水が起きたとき、頼れるのは家そのものの性能です。断熱・気密性能が高い家は、暖房や冷房が止まっても室温の変化がゆるやかで、真冬や真夏の停電時にも家族を守る時間を稼いでくれます。耐震等級3+制震の構造と合わせて、私たちは「在宅避難ができる家」を目指しています。
金沢の工務店だからこそ、金沢の気候に合わせて建てる
全国一律の仕様で建てる家と、金沢の気温・日射・雪・災害履歴を知り尽くした上で建てる家。同じ「高断熱」という言葉でも、中身は違います。
私たちメープルホームは、金沢で長年家づくりを続けてきました。この地域の気候が変わっていることも、その変化に設計がどう応えるべきかも、日々の現場で肌で感じています。
「冬あたたかく、夏すずしく、災害から家族を守る」。この当たり前を、変わりゆく金沢の気候の中で実現し続けること。それが、私たちが断熱にこだわる理由です。
家づくりを考え始めたばかりの方も、他社と比較検討中の方も、まずは一度、金沢の気候データと断熱の話を聞きに来てください。数字で語れる家づくりを、お約束します。
出典:気象庁「金沢」観測所データ、国勢調査、石川県令和6年能登半島地震被害状況、LIFULL HOME’S住まいインデックス、厚労省国民生活基礎調査ほか(Amigo建築コンサルティング「金沢市域住宅市場調査」2026.06より)