石川の家づくり

「おしゃれな家」と「金沢に合う家」は同じではない。庇の深さ・窓の位置・間取りから考える、この土地のデザイン

断熱、気密と、目に見えない性能の話を2回続けてきました。今回は少し雰囲気を変えて、デザインの話です。

家づくりを考え始めると、InstagramやPinterestで気になる外観や内装を集めていく方が多いと思います。それはとても大切な準備です。ただ、私たちメープルホームが金沢で家づくりをしていて感じるのは、「どこで見ても素敵な家」と「金沢で暮らして素敵な家」は、少し違うということです。

金沢の光、雨、雪、暑さ、そして街の風景。この土地で30年、40年と暮らす家のデザインは、雑誌の切り抜きだけでは決まりません。地域のデータを手がかりに、私たちが考える「金沢のデザイン」をお伝えします。

「デザインは心の心地よさ、性能は体の心地よさ」

まず、私たちのデザインに対する考え方をお話しします。

メープルホームは、家は性能が一番大切だと考えている会社です。けれど同時に、性能だけの家に人は愛着を持てないことも知っています。デザインは心の心地よさを、性能は体の心地よさを与えてくれる。この2つがそろってはじめて、住まいは「帰りたくなる場所」になります。

私たちには1級建築士事務所「MAPLEデザイン設計事務所」があり、性能を設計の内側に組み込んだうえでデザインを考えます。「かっこいい外観にしたら夏が暑くなった」「大きな窓にしたら冬が寒くなった」という、デザインと性能のトレードオフを起こさないこと。それが私たちの設計の出発点です。

金沢の太陽が決める、庇と窓のデザイン

市場調査で試算した数字を紹介します。金沢市(北緯36.56°)の正午の太陽高度は、夏至で約77°、冬至で約30°。その差は47°です。

この数字は、実はデザインにそのまま直結します。

南面に900mm前後の庇を出すと、夏は窓の上半分が日陰になり、冬は床の奥2.5mまで日射が届く。夏の暑さを遮りながら、冬は太陽の熱で部屋を暖める。この「夏遮蔽・冬導入」が両立できるのは、金沢の緯度だからこそ成り立つ数字です。北海道(43°)や沖縄(26°)では、同じ庇では最適になりません。

つまり金沢の家で深い庇や軒のある外観が「なんとなく落ち着いて見える」のは、偶然ではありません。それが金沢の太陽に対して正しい形だからです。

私たちが大切にしているパッシブ設計は、この太陽と風を読むことから始まります。窓の位置、大きさ、高さ、庇の深さ。外観の印象を決める要素のほとんどは、実は気候に対する答えとして決まっていきます。そしてその結果として、深い軒の落ち着いた佇まいが生まれる。金沢の街並みに自然となじむ外観になるのは、そういう理由です。

暑くなった金沢に、これから必要な「夏のデザイン」

金沢の年平均気温は2000年の14.5℃から2024年には16.5℃へ。猛暑日は3日から22日、7倍に増えました。一方で最深積雪は38cmから18cmに減っています。

かつての金沢の家づくりは「雪と寒さにどう耐えるか」が主題でした。しかし今、設計で本気で考えるべきなのは「夏をどう涼しく暮らすか」です。

具体的には、こんなデザインの工夫が金沢では効きます。

  • 外付けブラインドや深い庇で、日射を窓の外で止める。カーテンで室内側に入ってから遮るのと、外で遮るのとでは、暑さがまったく違います
  • 風の通り道を間取りに組み込む。夜間に涼しい外気を取り込める窓配置は、冷房の負荷を大きく減らします
  • 中庭やテラスで、外とつながる暮らし。お手入れのいらないタイルテラスの中庭で、家族でBBQをする機会が増えたというお客様もいます

こうした工夫は「性能のため」であると同時に、外観や内装の印象そのものを決める、まさにデザインの要素です。

共働き・子ども2人の毎日を支える、間取りのデザイン

デザインは外観だけではありません。むしろ毎日の暮らしを左右するのは、間取りと収納です。

30〜40代・共働き・お子さん2人。このご家庭の朝は、本当に忙しい。保育園や学校の準備、洗濯、朝食、そして自分たちの出勤。家事の動線が1本ずれるだけで、毎朝5分、10分と時間が奪われていきます。

メープルホームでは、女性プランナーが中心になって間取りを提案しています。さらに整理収納アドバイザーやインテリアプランナーの資格を持つスタッフが、収納の「量」だけでなく「どこに、何を、どう戻すか」まで一緒に考えます。

ベビーカーや子どもの遊具までしまえる大きなシューズクロークで玄関まわりをすっきり保つ。洗濯から収納までを一直線に。デッドスペースを子どものお昼寝スペースに。こうした「家事ストレスゼロ」の工夫は、写真では地味に見えるかもしれませんが、住み始めてから最も「よかった」と感じていただける部分です。

そしてもうひとつ、コロナ後の金沢で標準になったのが在宅ワーク空間です。市場調査でも、2000年頃には「書斎はオプション」だったのに対し、今は独立したワークスペースと光回線が標準仕様化していると整理されています。共働きのご夫婦にとって、家で集中して働ける場所があるかどうかは、間取りの満足度を大きく左右します。

手の届く価格で、デザインをあきらめない:TRETTIO

「デザインにこだわりたいけれど、予算には限りがある」。これは、この世代のほとんどの方が抱えている本音です。

金沢市の30〜40代の世帯年収は520〜640万円程度。土地と建物で4,000万円を超える計画は現実的に厳しい、と市場調査も指摘しています。

そこで私たちがご提案しているのが、規格住宅TRETTIO(トレッティオ)です。北欧デザインをベースに、プロが厳選した外観・内装・設備の組み合わせから選んでいくセミオーダー型の住まいで、フルオーダーよりも価格を抑えながら、スーパーウォール工法の性能はそのまま。平屋タイプのTRETTIO VALOもあります。

「安く見えない、安い家」ではなく、「選び方を整理することで、性能とデザインの両方を手の届く価格に収めた家」。共働き世代の家づくりに、ちょうどよい選択肢だと考えています。

金沢という街の中に、どう建つか

金沢は今、年間1,000万人以上の観光客が訪れる街になりました。町家の風景に価値を見いだす人が世界中から集まっています。そして市場調査によれば、金沢市の人口は2010年にピークを迎え、郊外の宅地からまちなかへと需要が動いています。

こうした街で新しく家を建てるとき、私たちは「金沢の街並みに、どう建つか」を意識します。派手さで目立つのではなく、深い軒、落ち着いた色、光をコントロールする窓。金沢の風景に静かになじみながら、内側では今の暮らしに合った明るく機能的な空間がある。それが私たちの目指す金沢のデザインです。

この土地を知っているから、この形になる

金沢の太陽の高さ、変わりゆく気候、共働き家族の朝の忙しさ、そして街の風景。メープルホームのデザインは、そのすべてに対する答えとして形になります。

「おしゃれだから」ではなく、「金沢で暮らすならこの形が心地よいから」。そう説明できるデザインを、私たちは一邸一邸、心を込めてご提案しています。

集めた写真を持って、一度ご相談に来てください。その写真の中の「好き」を、金沢で心地よく暮らせる形に翻訳するのが、私たちの仕事です。


出典:気象庁「金沢」観測所データ、国勢調査、金沢市統計書、観光庁宿泊統計、LIFULL HOME’S住まいインデックス、厚労省国民生活基礎調査ほか(Amigo建築コンサルティング「金沢市域住宅市場調査」2026.06より)

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