石川の家づくり

「金沢は治安がいいから」で終わらせない。データが示す住宅侵入盗の再上昇と、共働き家族のための防犯設計

断熱、気密、デザインと続けてきたシリーズ、今回のテーマは防犯です。

正直に言えば、家づくりの打ち合わせで防犯の話が最初に出ることはあまりありません。「金沢は治安がいいから」「このあたりはご近所みんな顔見知りだから」。そう感じている方が多いからです。

その感覚は、決して間違いではありません。ただ、私たちメープルホームが地域のデータを見ていて気になるのは、「全体として治安がいい」という事実の裏で、住宅を狙った犯罪だけは再び増え始めているということです。

共働きで日中は家を空け、お子さんが先に帰ってくることもあるご家庭にとって、防犯は「あったら安心」ではなく、間取りと同じくらい最初から考えるべき設計項目です。数字を見ながら、お話しします。

石川県の犯罪は20年で3分の1に。それでも安心しきれない理由

まず、良いニュースからです。

石川県内の刑法犯認知件数は、2003年の17,770件をピークに減り続け、2022年には3,409件まで下がりました。20年で3分の1以下。金沢が「安心して暮らせる街」と言われるのは、この数字に裏付けがあります。

ただし、この減少傾向は2022年で底を打ち、その後は再上昇に転じています。2025年は5,376件。そして住宅に直接関わる数字を見ると、傾向はもっとはっきりします。

住宅侵入盗(空き巣・忍込みなど)は、2023年の168件から2024年には217件へ。前年比+29.2%、およそ3割の増加です。そのうち空き巣が144件と大半を占めています。

「全体では減っている」と「わが家が狙われるリスク」は別の話です。むしろ、地域全体の防犯意識が緩んでいるときこそ、無防備な家から順番に狙われます。

金沢の暮らしの変化が、防犯の前提を変えている

市場調査で整理された「2000年と今」の変化の中に、防犯に関わるものがいくつかあります。

① 共働きが当たり前になり、日中の留守が増えた

30〜40代・共働き・お子さん2人。この世代の多くのご家庭では、平日の昼間、家に誰もいない時間が長くなります。空き巣が最も好むのは、まさにこの「昼間の留守」です。かつての金沢のように「隣の家に誰かがいる」という無言の見守りは、街全体で薄くなっています。

② 郊外の空き家が増え、住宅地の「目」が減っている

金沢市の人口は2010年にピークを迎え、市場調査でも郊外宅地の流通停滞が指摘されています。空き家が増えた住宅地は、人の目が減り、侵入者にとって身を隠しやすい環境になります。能登半島地震の後には、被災地の空き家を狙った犯罪が増えたことも、件数の再上昇の一因として挙げられています。

③ 観光客が年間1,000万人を超え、住宅地に見知らぬ人が増えた

金沢を訪れる観光客は年間1,000万人を超え、町家の民泊や短期賃貸が市街地に広がっています。観光の街として素晴らしいことですが、住宅地に「知らない顔」がいることが日常になった、という側面もあります。「見慣れない人がいたら気づく」という地域の防犯力は、以前より働きにくくなっています。

④ 家に届く脅威が変わった

2025年、石川県では特殊詐欺が242件・被害13.3億円、SNS型投資詐欺が178件・18.6億円。侵入だけでなく、電話やインターホンを通じて家の中に入ってくる犯罪も増えています。誰が来たかを確認できる玄関まわりの設計は、この意味でも重要です。

メープルホームが考える、金沢の防犯設計

防犯は、後から警備会社と契約すれば済む話ではありません。侵入されにくい家は、間取りと窓と外構の設計段階でほぼ決まります。私たちが家づくりの中で大切にしている考え方をご紹介します。

窓を「弱点」にしない

住宅への侵入経路で最も多いのは窓です。メープルホームが採用しているスーパーウォール工法はLIXILのシステムであり、窓もLIXIL製のサッシを基本としています。防犯性能の高い合わせガラスや、防犯性能の目安となるCPマーク付きの部品など、防犯仕様の選択肢を設計段階からご提案できます。

ここで大切なのは、防犯と、これまでお話ししてきた断熱・気密は矛盾しないということです。高性能な窓は、割られにくく、開けられにくく、そして熱を逃がしにくい。性能と防犯は、良い窓を選ぶことで同時に手に入ります。

「見通し」と「見えない場所」を設計でコントロールする

侵入者が嫌うのは、人目です。道路から玄関や窓が見通せること、逆に家の裏側に死角をつくらないこと。植栽の高さ、塀の種類、外構の照明。こうした外まわりの計画は外観デザインの一部であり、私たちは女性プランナーが暮らしの目線で、外構と間取りを一体で考えます。

たとえば中庭のある間取りは、外から見えないプライベートな外部空間を家の内側につくることで、外周部の大きな窓を減らし、防犯とプライバシーと開放感を同時に叶える金沢ならではの解答のひとつです。

夜間の照明と、玄関の「確認できる」設計

人感センサーライトは、費用に対して防犯効果の高い設備です。ただ、後付けでは配線や取り付け位置に制約が出ます。新築時に外構計画と一緒に決めておくことで、暗がりを残さない配置が可能になります。

また、特殊詐欺や訪問トラブルが増えている今、玄関先で相手を確認できる録画機能付きインターホンや、お子さんが一人で帰宅しても安心できる玄関の動線は、共働きのご家庭にこそ必要な設計です。

「留守に見えない家」をつくる

共働き家庭にとって最大の防犯は、「昼間も誰かいるように見える」ことです。郵便物がたまらないポストの位置、外から洗濯物が見えない物干し計画、タイマー式の室内照明。どれも大がかりな設備ではありませんが、間取りの段階で意識するかどうかで、住み始めてからの安心感が変わります。

「建ててからが本当のお付き合い」だからこそ

メープルホームは、建てた後のお客様とのつながりを大切にしている会社です。最長60年の保証体制と迅速なアフターサポート、子育てセミナーやSNSでの家族向けイベント。「建ててからが本当のお付き合いのはじまり」というモットーは、防犯にも通じます。

防犯は一度決めたら終わりではありません。お子さんの成長で帰宅時間が変われば、必要な対策も変わります。街の状況が変わることもあります。長くお付き合いする工務店だからこそ、住み始めた後も「気になることがあれば相談できる」関係を続けられることが、私たちの防犯の考え方の土台です。

安心は、性能と同じように設計できる

石川県全体の治安は、確かに良くなりました。けれど、住宅を狙った犯罪は増え始め、共働きと空き家と観光の広がりで、住宅地の「守られ方」は20年前とは違います。

「金沢は安全だから」で防犯を後回しにするのではなく、断熱や気密と同じように、最初から数値と根拠を持って設計に組み込む。家族が安心して眠れること、お子さんが一人で帰ってきても不安がないこと。それも、私たちが考える住宅性能の一部です。

金沢で家づくりを考え始めたら、ぜひ防犯の話も一緒に聞かせてください。この街の今を知っているからこそ、できる提案があります。


出典:石川県警察「主な刑法犯の認知と検挙状況」(令和7年)、ALSOK石川県治安ランキング2025、金沢市統計書、観光庁宿泊統計ほか(Amigo建築コンサルティング「金沢市域住宅市場調査」2026.06より)

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