雨・雪・地震・そして猛暑。金沢の外壁に求められる「守る力」と、35年後も後悔しない選び方
断熱、気密、デザイン、防犯、窓。ここまで5回にわたって「金沢の家づくり」をお話ししてきました。今回のテーマは、家をいちばん外側で守っている部位、外壁です。
外壁は、家の顔です。街並みの中で最初に目に入り、家族が毎日帰ってくるときに「わが家だ」と感じる部分でもあります。けれど同時に、外壁は雨、雪、風、紫外線、地震の揺れをすべて最前線で受け止める、家の中で最も過酷な環境にさらされている部位です。
そして外壁には、断熱や気密と少し違う特徴があります。建てた後に、確実にお金がかかるということです。10年、15年ごとに訪れるメンテナンス費用を、共働きで子育て中のご家庭がどう考えるか。金沢という土地の条件とあわせて、私たちメープルホームの考え方をお伝えします。
金沢の外壁は、日本で最も過酷な環境のひとつにある
① 雨の街。壁は常に濡れている
金沢は全国でも降水量・降水日数がきわめて多い街です。「弁当忘れても傘忘れるな」という言葉の通り、一年を通じて壁が濡れて乾く、を繰り返しています。
市場調査で整理された災害の記録を見ると、2008年の浅野川豪雨では60分に138mmという観測史上最多の雨が降り、2022年、2024年にも県内で豪雨被害が起きています。日常的な雨に加えて、こうした「横から叩きつける雨」に耐えることが、金沢の外壁には求められます。
外壁材の表面から水が入り、下地や構造材を濡らす「雨漏り」の多くは、屋根ではなく外壁の継ぎ目やサッシまわりから起きます。多雨の金沢では、外壁材そのものより「継ぎ目と取り合いをどう守るか」が寿命を決めます。
② 湿気とカビ・コケ
雨が多く日照が少ない北陸の気候では、北面の外壁や庇の下にコケや藻が発生しやすくなります。見た目の問題だけでなく、常に湿った状態が続くことで、外壁材の劣化や壁内の結露リスクにもつながります。
③ 雪は減った。でも、なくなってはいない
最深積雪は2000年の38cmから2024年には18cmに減りました。それでも2011年、2018年には記録的な豪雪が北陸を襲い、2018年の豪雪では空き家の倒壊が増えたことも記録されています。雪が外壁の下部に長く接触したまま溶けたり凍ったりを繰り返す環境は、外壁の下端や基礎との取り合いに負担をかけます。
④ 夏が東京並みに。紫外線と熱による劣化
年平均気温は25年で+1.8℃、猛暑日は3日から22日へ。外壁の塗膜や目地のシーリング材は、紫外線と熱で劣化します。「北陸は日照が少ないから外壁は長持ちする」という前提は、夏が長く暑くなった今の金沢では、以前ほど当てはまらなくなっています。
⑤ 地震。外壁は「揺れの痕」がいちばん出る場所
2024年の能登半島地震では、金沢市内で震度5強を観測し、一部破損が4,077棟にのぼりました。「一部破損」の多くは、外壁のひび割れや目地の割れです。倒壊しなくても、外壁に傷が入れば雨水の侵入口になり、その後の劣化を早めます。地震に対する外壁の強さは、「割れないこと」だけでなく「揺れに追従できること」で決まります。
⑥ 海に近いエリアの塩害
対象エリアのうち内灘町・かほく市は海岸沿いに位置し、金沢市西部も日本海に面しています。海風が届くエリアでは、金属部材のサビや塗膜の劣化が早まる塩害を、外壁材と金物の選定段階で考慮する必要があります。
雨・湿気・雪・猛暑・地震・塩害。これだけの条件が重なる地域は、全国を見てもそう多くありません。金沢の外壁は、「全国標準の仕様」では足りない、と私たちは考えています。
メープルホームの外壁:壁を「層」で考える
外壁というと、外側に見えている外壁材のことだと思われがちです。しかし本当に家を守っているのは、外壁材の内側にある壁の構成全体です。
壁そのものが強い:スーパーウォール工法
私たちが標準採用しているLIXILのスーパーウォール(SW)工法は、構造用パネルと硬質ウレタンフォームの断熱材を工場で一体化した壁パネルで家を構成します。この壁は、断熱と気密の性能を担うだけでなく、地震の揺れに対して面で抵抗する構造体でもあります。
つまりSW工法の家では、「断熱の壁」と「地震に耐える壁」が同じものです。メープルホームでは耐震等級3を基本に、さらに揺れそのものを吸収する制震技術を組み合わせています。建物全体の揺れが小さくなれば、外壁にかかる負担も小さくなり、ひび割れや目地切れのリスクが下がる。外壁を守る第一歩は、実は構造にあります。
壁の中に湿気をためない:通気と無結露保証
多雨・多湿の金沢で外壁の寿命を決めるのは、壁の中に入った水分をいかに逃がすかです。外壁材の内側に空気が流れる通気層を設け、万一入り込んだ雨水や湿気を外へ排出する。これは私たちが施工で必ず守っている基本です。
さらに、SW工法の断熱材である硬質ウレタンフォームには35年の無結露保証が付帯しています。気密の回でお話しした「壁の中に湿気を入れない」性能が、外壁の内側から家を守っています。外から雨を防ぎ、内から結露を防ぐ。両側から守ることで、外壁の下にある構造材が長持ちします。
施工品質を第三者の目で確認する
外壁の継ぎ目やサッシまわりの防水処理は、完成すると見えなくなります。だからこそ私たちは、第三者機関による監査を取り入れ、施工の途中段階で客観的に確認を受けています。「きちんとやりました」を、自社の言葉だけでなく外部の目で裏付ける。多雨の金沢で外壁を長持ちさせるには、施工の丁寧さが何より効きます。
庇と軒が、外壁を守る
デザインの回でお話しした南面900mmの庇や深い軒は、日射をコントロールするためだけのものではありません。軒の出が深い家は、雨が外壁に直接当たる量が減り、紫外線も遮られるため、外壁の劣化が明らかに遅くなります。金沢の古い町家の軒が深いのは、この土地で壁を守るための先人の知恵でもあります。性能とデザインと耐久性は、ここでもつながっています。
外壁材の選び方:共働き世代の「35年のお金」で考える
30〜40代・共働き・お子さん2人。金沢市の同世代の世帯年収は520〜640万円程度で、市場調査でも総予算の壁が指摘されています。だからこそ、外壁は「今いくらか」ではなく「35年でいくらか」で選んでいただきたい部位です。
一般的なサイディングは初期費用を抑えられますが、10〜15年ごとに塗り替えや目地のシーリング打ち替えが必要になり、その都度100万円単位の費用がかかります。一方、高耐久のサイディングや金属系の外壁、塗り壁などは初期費用が上がる分、メンテナンスの間隔を大きく延ばせるものがあります。
お子さんの教育費が最もかかる時期と、外壁の最初のメンテナンス時期は、ちょうど重なります。「10年後に100万円を用意できるか」を今のうちに考えておくことは、家計を守る設計でもあります。私たちは、金沢の気候条件とご家庭のライフプランの両方を見ながら、外壁材と保証の組み合わせをご提案しています。
「建ててからが本当のお付き合い」
メープルホームは、最長60年保証の体制と迅速なアフターサポートを整えています。外壁は建てた後に必ず手をかける部位だからこそ、定期的に点検し、傷みの兆候を早く見つけ、大きな修繕になる前に手を打つことが、結果として最も費用を抑えます。
「建ててからが本当のお付き合いのはじまり」。私たちがこの言葉を大切にしているのは、外壁のように時間とともに変化していく部位を、住まい手と一緒に長く見守っていくためです。
金沢を知っているから、壁を厚く考える
雨が多く、湿気が高く、雪が降り、夏は暑く、地震があり、海が近い。金沢の外壁は、この土地のすべての厳しさを受け止めています。
外壁材の色や質感を選ぶ楽しさは、家づくりの大きな喜びです。その楽しさの土台に、構造・通気・防水・施工品質という見えない「層」がきちんと積まれていること。それが、この街で35年後も後悔しない外壁だと私たちは考えています。
出典:気象庁「金沢」観測所データ・「災害をもたらした気象事例」、内閣府防災、石川県令和6年能登半島地震被害状況(第154報)、国勢調査、LIFULL HOME’S住まいインデックスほか(Amigo建築コンサルティング「金沢市域住宅市場調査」2026.06より)