西日が強い家の暑さ対策、窓・庇・外付けシェードの選び方
「南向きの家だから日当たりは万全」——家づくりの土地探しで、多くの方がまず気にするのは南面です。けれど実際に住み始めてから「思っていたより暑い」と感じる原因の多くは、実は西の窓にあります。
夕方、仕事や保育園の迎えから帰ってきて、玄関を開けた瞬間にムッとする熱気。リビングの西側だけ、カーテンを閉めていても眩しく、暑い。金沢でもこうした「西日の悩み」は年々増えています。
今回は、金沢の太陽と気候のデータをもとに、西日がなぜこれほど厄介なのか、そしてどう対策すればいいのかを、私たちメープルホームの考え方とあわせてお話しします。
なぜ西日は、南の日射より厄介なのか
金沢の太陽高度は、南面については市場調査で詳しく整理されています。夏至の正午で約77°、冬至で約30°。この高い角度のおかげで、南面は900mm前後の庇を出せば、夏は窓の上半分を日陰にしながら、冬は部屋の奥まで日射を取り込むことができます。庇という単純な工夫で、夏と冬の両立が可能なのが南面です。
ところが西面は、事情がまったく違います。
夕方の太陽は、時刻が進むほど高度が下がり、水平に近い角度から差し込みます。庇は上から出すものですから、太陽が横から入ってくる西日には、ほとんど効果がありません。しかも夕方は、その日でいちばん外気温が高い時間帯と重なります。金沢の夏、気温のピークは正午ではなく14時〜16時頃に来ることが多く、まさにその時間に西日が室内へ差し込みます。
「南は庇で解決できるが、西は庇では解決できない」。これが、西日対策を考えるうえでの最初の前提です。
金沢の夏が、西日をより厳しくしている
市場調査のデータを振り返ると、金沢の年平均気温は2000年の14.5℃から2024年には16.5℃へ、25年で+1.8℃上昇しました。猛暑日(35℃以上)は3日から22日へと7倍に増えています。
この16.5℃という数字は、現在の東京・大阪とほぼ同じ温暖度です。かつての金沢では、西日が入っても夕方には気温が下がり始め、我慢できる範囲でした。しかし猛暑日が7倍になった今、外気温そのものが高い状態で西日が加わるため、室温の上昇はより急激で、より高い温度まで達します。
さらに、金沢の夏は日本海側特有のフェーン現象で、乾いた熱風が吹き下ろす日があります。この風が吹く日の夕方は、西日と高温の空気が同時に襲ってくることになり、対策のない西向きの部屋では体感的にかなり厳しい暑さになります。
共働き家庭にとって、西日はなぜ深刻なのか
30〜40代・共働き・お子さん2人。このご家庭にとって、西日の問題は「暑い」だけでは終わりません。
朝、家を出るときは涼しかった部屋が、夕方お迎えや帰宅で戻ってくる頃には、西日を一日中受けて蓄熱し、うだるような暑さになっている。子どもを連れて帰ってきた直後、いちばん体力も気力も落ちている時間帯に、いちばん暑い部屋が待っている。これは家事や育児の負担そのものを増やします。
また、西向きにお子さんの部屋がある場合、下校後の夕方から夜にかけて部屋が暑いままだと、宿題や就寝準備の時間まで不快な環境が続くことになります。
西日対策は、快適さの問題であると同時に、家族が最も忙しく疲れている時間帯の「暮らしやすさ」の問題でもあります。
西日対策の基本:3つの選択肢
西日は庇では防げないため、別の方法で「熱を室内に入れる前に止める」ことが必要です。主な選択肢は次の3つです。
① 窓の性能で守る:日射遮蔽型ガラス
西向きの窓には、日射熱をカットする「日射遮蔽型」のLow-E複層ガラスが有効です。ガラス自体が太陽の熱エネルギーを反射・吸収するため、何もしなくても一定の効果があります。ただし、ガラスだけでは西日の眩しさや、真夏のピーク時の熱量を完全には防ぎきれません。他の対策と組み合わせるのが基本です。
② 外付けシェード・外付けブラインドで、窓の外で止める
最も効果が高いのが、窓の外側に設置する外付けシェードや外付けブラインドです。室内側のカーテンやブラインドは、太陽の熱がガラスを通過して室内に入ったあとに遮るため、熱そのものはすでに部屋にこもっています。窓の外で日射を遮れば、熱は室内に入る前に反射され、効果は室内側の対策とは比較になりません。
可動式の外付けシェードなら、西日の強い時間帯だけ下ろし、それ以外は開けて明るさを確保することもできます。金沢のように夏と冬で必要な日射が正反対になる地域では、固定の目隠しよりも、季節と時間帯で調整できる可動式の対策が理にかなっています。
③ 窓の配置・大きさそのものを見直す
いちばん根本的な対策は、設計段階での窓計画です。西面は、南面のように大きな掃き出し窓を配置するのではなく、小さく、高い位置に設けることで、日射を受ける面積そのものを減らせます。どうしても西側に開口が必要な場合は、リビングなど長時間過ごす部屋を避け、クローゼットや浴室など短時間しか使わない場所に西窓を集める、という考え方も有効です。
メープルホームの考え方:窓は「性能をセットで買う」部位
私たちが標準採用しているLIXILのスーパーウォール(SW)工法は、壁だけでなく窓を含めた建物全体を高断熱・高気密の外皮として設計します。基準としているHEAT20 G2グレード(UA値0.46以下)は、窓の性能なしには成立しません。西向きの窓には日射遮蔽性能の高いガラスを選定し、方位ごとに求められる性能を変えることで、家全体の断熱性能を無駄なく実現しています。
私たちが大切にしているパッシブ設計は、南面の庇の話だけでは終わりません。方位ごとに太陽の動きを読み、南は庇で、西は窓の配置と外付けの日除けで、それぞれに合った答えを出すことが、パッシブ設計の本来の考え方です。「とりあえず庇を出せば大丈夫」ではなく、方位ごとに違う対策が必要だということを、設計の最初の段階からお客様と共有しています。
さらに、断熱・気密の性能が高い家では、西日で室内に入った熱を、そもそも外に逃がさないようにする必要があります。私たちの全棟気密測定で確認する高い気密性能は、日射遮蔽と組み合わさることで、一度冷やした部屋の涼しさを長く保ちます。西日対策と、これまでお話ししてきた断熱・気密は、切り離せない関係にあります。
そして間取りの提案では、女性プランナーが暮らしの目線で窓の配置を考えます。西向きにリビングを配置せざるを得ない土地条件のときも、可動式の外付けシェードや植栽での日除けを組み合わせ、夕方の時間を家族が快適に過ごせる工夫をご提案しています。
土地選びの段階から、西日は考えられる
金沢のまちなかでは、人口動態の変化により駅近やまちなかへの住宅需要がシフトしています。土地の形状や隣地の建物によって、西側にどうしても開口を設けざるを得ない敷地も少なくありません。
土地を決める前の段階で、周辺の建物の高さや、隣地との位置関係から西日の入り方を想定しておくことで、間取りと窓計画で無理のない対策を組み込めます。土地探しの段階からご相談いただければ、西日の少ない配置や、対策のしやすい間取りを一緒に考えることができます。
「なんとなく暑い」を、設計で解決する
西日は、南の日射のように庇一つでは解決できない、少し手強い相手です。けれど、窓の性能、外付けの日除け、窓の配置、そして家全体の断熱・気密。これらを組み合わせれば、西向きの部屋も、家族が安心して過ごせる場所に変えられます。
猛暑日が7倍になった金沢で、夕方の帰宅時間をもっと快適にしたい方は、ぜひ一度、窓の方位から家づくりの相談をしてみてください。南も西も、この土地の太陽の動きを知っている工務店だからこそ、できる提案があります。
出典:気象庁「金沢」観測所データ、国勢調査ほか(Amigo建築コンサルティング「金沢市域住宅市場調査」2026.06より)