石川の家づくり

金沢市の夏におすすめの遮熱屋根・遮熱塗装。「反射」で暑さを防ぐという選択肢

屋根裏の熱こもりについて前回お話ししましたが、今回はその対策のひとつとして注目されている遮熱屋根・遮熱塗装についてです。

「屋根を塗り替えるなら、遮熱塗料にしたほうがいいと聞いた」「遮熱屋根って、実際どれくらい効果があるの」。金沢でも、夏の暑さが増すにつれてこうした相談が増えています。今回は、遮熱の仕組みと、金沢の気候における向き・不向き、そして私たちメープルホームの考え方をお話しします。

「遮熱」と「断熱」は、まったく違うもの

まず整理しておきたいのが、遮熱と断熱は仕組みが違うということです。

断熱は、熱の「伝わりやすさ」そのものを下げる仕組みです。断熱材の中に熱を伝えにくい空気の層をつくり、熱がじわじわと伝わる速度を遅くします。

遮熱は、太陽光に含まれる赤外線を「反射」して、そもそも屋根材に熱を蓄えさせない仕組みです。遮熱塗料や遮熱屋根材は、表面が特殊な顔料でコーティングされており、同じ色・同じ見た目でも、一般的な塗料より多くの太陽光を跳ね返します。

夏、屋根の表面温度は60〜70℃に達しますが、遮熱塗装を施した屋根は、この表面温度そのものを一般的な屋根より10〜20℃ほど下げられるとされています。屋根裏に伝わる熱の「元」を減らすのが遮熱、伝わってくる熱の速度を遅くするのが断熱。この2つは対立するものではなく、組み合わせることでそれぞれの弱点を補い合います。

金沢で遮熱が注目される理由

猛暑日が7倍になった

気象庁の金沢観測所のデータでは、猛暑日(35℃以上)は2000年の3日から2024年には22日へと7倍以上に増え、年平均気温は25年で+1.8℃上昇しました。今の金沢は、東京・大阪とほぼ同じ暑さです。屋根が受ける日射のエネルギーが増えたことで、屋根表面の温度そのものを下げる遮熱の効果が、以前より実感しやすくなっています。

積雪が減り、「夏対応」の屋根を選びやすくなった

最深積雪は2000年の38cmから2024年には18cmへとほぼ半減しました。かつての金沢の屋根選びは、まず雪への耐性が優先されがちでしたが、雪の負担が軽くなったことで、遮熱性能を含めた「夏の快適さ」を屋根材選びの基準に加えやすくなっています。

太陽光発電との相性

私たちが提案するパッシブZEHでは、屋根に太陽光発電を載せることを設計の前提にしています。屋根表面の温度が下がると、太陽光パネル自体の発電効率にも良い影響があるとされ、遮熱と創エネは相性のよい組み合わせです。

金沢の気候で、遮熱を選ぶときに気をつけたいこと

遮熱にはメリットがある一方、金沢特有の気候条件を踏まえて選ぶ必要があります。

① 多雨・多湿の金沢では、塗膜の耐久性が重要

金沢は全国でも降水量・降水日数が多い街です。市場調査の災害記録にもある通り、2008年の浅野川豪雨のような短時間豪雨も含め、屋根は一年を通じて雨にさらされています。遮熱塗料は表面のコーティングであるため、紫外線と雨風による劣化で遮熱効果が徐々に落ちていきます。一般的に、遮熱塗料の効果は10年前後で低下し始めるとされ、定期的な塗り直しが前提になります。「一度塗れば終わり」ではなく、外壁や屋根の他のメンテナンスとあわせて計画的に考える必要があります。

② 積雪はまだ残っている

積雪は半減したとはいえ、2011年、2018年には記録的な豪雪も記録されています。遮熱塗料の中には、表面の質感によって雪が滑り落ちやすくなるものと、逆に付着しやすいものがあります。金沢で選ぶ際は、遮熱性能だけでなく、積雪時の落雪の仕方や、雪止め金具との組み合わせも含めて検討することをおすすめします。

③ 冬の暖房には、むしろ逆効果になることも

遮熱は太陽光を反射する仕組みですから、夏だけでなく冬の日射も反射してしまいます。金沢の冬至の太陽高度は約30°と低く、パッシブ設計では屋根ではなく主に南面の窓から冬の日射熱を取り込みます。屋根の遮熱塗装が冬の暖かさに与える影響は限定的ですが、「夏は涼しく、冬は暖かい」を両立させるには、屋根の遮熱だけに頼らず、断熱・気密・南面の日射計画とあわせて考えることが大切です。

メープルホームの考え方:遮熱は「単体」ではなく「性能設計の一部」

私たちは、遮熱塗装や遮熱屋根材を、単独の対策としてではなく、家全体の断熱・気密性能を高める設計の中に位置づけてご提案しています。

新築:屋根の断熱・気密が、まず土台

私たちが標準採用しているLIXILのスーパーウォール工法では、屋根まで含めた建物全体を高断熱・高気密の外皮として設計し、HEAT20 G2グレード(UA値0.46以下)を基準にしています。屋根表面の熱をいくら反射で減らしても、天井裏の断熱と気密が不十分であれば、残った熱は室内に伝わってしまいます。遮熱は、この断熱・気密という土台があってはじめて効果を最大限に発揮する、いわば「仕上げの一手」です。

屋根材や塗装を選ぶ段階では、遮熱性能の有無だけでなく、金沢の雨・雪・地震(屋根の重量)への適性もあわせて総合的にご提案しています。

リフォーム:既存の屋根に、遮熱と断熱を組み合わせる

すでにお住まいの家で「2階が暑い」とお悩みの方には、屋根塗装のタイミングで遮熱塗料を選んでいただくとともに、前回お話しした天井裏の断熱強化や換気経路の見直しをあわせてご提案しています。私たちのリフォームでは、まず専門家が現在のお住まいの性能を測定・診断し、遮熱だけで十分なのか、断熱や気密まで含めた改修が必要なのかを判断したうえで計画を立てます。塗り替えのタイミングは10〜15年ごとに訪れるものですから、そのたびに「遮熱にするかどうか」だけでなく、「屋根裏の断熱もあわせて見直すべきか」を一緒に考える機会にしていただければと思います。

施工品質を第三者の目で

屋根の塗装や葺き替えは、下地の状態によって仕上がりと耐久性が大きく変わります。私たちは第三者機関による監査を通じて、見えなくなる下地処理や防水の施工品質を客観的に確認しています。多雨の金沢で遮熱屋根を長持ちさせる鍵は、塗料の性能以上に、下地からの丁寧な施工にあります。

「反射」だけに頼らない、金沢の夏対策を

遮熱屋根・遮熱塗装は、猛暑日が7倍になった金沢の夏に対して、確かに効果のある選択肢です。ただし、多雨で塗膜が劣化しやすいこと、積雪への配慮が必要なこと、そして断熱・気密という土台があってはじめて効果を発揮することを踏まえておく必要があります。

私たちメープルホームは、遮熱を単独の商品としてではなく、屋根・天井の断熱、気密、そして太陽光発電までを含めた家全体の性能設計の一部としてご提案しています。屋根の暑さにお悩みの方は、塗料選びの前に、まず今の屋根と屋根裏がどんな状態にあるのかを一緒に確認してみませんか。


出典:気象庁「金沢」観測所データ・「災害をもたらした気象事例」、国勢調査ほか(Amigo建築コンサルティング「金沢市域住宅市場調査」2026.06より)

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