マニアな知識 / 断熱材
断熱等性能等級6のUA値は、5〜7地域で 0.46。けれど同じ6地域の中でも、1月の日照時間には3.4倍の開きがあります。同じ数字を取っても、同じ家にはならない。断熱材の種類・必要な厚み・工法・費用を、一次資料の数値からたどります。
断熱材の性能はブランド名ではなく、熱伝導率 λ(ラムダ)という一つの数字で決まります。必要な厚みは 厚さ = 必要熱抵抗値 R × λ × 1000 という割り算でしかありません。地域と部位を変えて、同じ性能に何mm要るのかを見てください。
断熱材の優劣は、この λ ひとつに集約されます。λ が半分なら、厚みも半分で同じ性能。逆に言えば、どんな高性能材を使っても、厚みが足りなければ熱抵抗は出ません。営業トークで「高性能な断熱材です」と言われたら、聞くべきは商品名ではなく λ と厚みの2つです。
ここが最初の落とし穴です。6地域の外壁に求められる熱抵抗は、仕様基準(等級4)でわずか 2.2。高性能グラスウール16K なら 84mm、つまり105mm柱の充填でおつりが来ます。2025年4月から義務化された「省エネ基準適合」とは、この水準のことです。
そして等級6には仕様基準そのものが存在しません。厚さの早見表を見て積むだけでは等級6に届かず、必ずUA値の計算が要ります。
| 部位 | 1・2地域 | 3地域 | 4地域 | 5・6・7地域 | 8地域 |
|---|---|---|---|---|---|
| 屋根 | 6.6 | 4.6 | 4.6 | 4.6 | 0.96 |
| 天井 | 5.7 | 4.0 | 4.0 | 4.0 | 0.78 |
| 壁 | 3.3 | 2.2 | 2.2 | 2.2 | — |
| 床(外気に接する部分) | 5.2 | 5.2 | 3.3 | 3.3 | — |
| 床(その他) | 3.3 | 3.3 | 2.2 | 2.2 | — |
| 土間床等の外周部(外気に接する) | 3.5 | 3.5 | 1.7 | 1.7 | — |
| 土間床等の外周部(その他) | 1.2 | 1.2 | 0.5 | 0.5 | — |
4〜7地域の誘導基準(充填断熱)では、屋根 5.7 に対して天井 4.4。屋根断熱を選んだ瞬間、天井断熱の約1.3倍の熱抵抗を求められます。外張り断熱なら屋根 4.8、壁 2.3 と、充填断熱より低い値で済みます(木部の熱橋がない分を制度が織り込んでいるためです)。
| 部位(4〜7地域・誘導基準) | 充填断熱 | 外張断熱 |
|---|---|---|
| 屋根 | 5.7 | 4.8 |
| 天井 | 4.4 | 4.8 |
| 壁 | 2.7 | 2.3 |
| 床(外気に接する部分) | 3.4 | 3.1 |
| 床(その他) | 2.2 | — |
| 土間床等の外周部(外気に接する) | 1.7 | 1.7 |
| 土間床等の外周部(その他) | 0.7 | 0.7 |
断熱等性能等級6・7は令和4年10月1日に施行されました。それまでの最上位は等級4——1999年の次世代省エネ基準とほぼ同水準のまま、20年以上動かなかった基準です。等級が一気に3段増えたことで、「等級◯」という言葉だけが独り歩きしはじめました。
| 等級 | 1地域 | 2地域 | 3地域 | 4地域 | 5地域 | 6地域 | 7地域 | 8地域 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 等級7 | 0.20 | 0.20 | 0.20 | 0.23 | 0.26 | 0.26 | 0.26 | — |
| 等級6 | 0.28 | 0.28 | 0.28 | 0.34 | 0.46 | 0.46 | 0.46 | — |
| 等級5(ZEH水準) | 0.40 | 0.40 | 0.50 | 0.60 | 0.60 | 0.60 | 0.60 | — |
| 等級4(省エネ基準) | 0.46 | 0.46 | 0.56 | 0.75 | 0.87 | 0.87 | 0.87 | — |
| 等級3 | 0.54 | 0.54 | 1.04 | 1.25 | 1.54 | 1.54 | 1.81 | — |
| 等級2 | 0.72 | 0.72 | 1.21 | 1.47 | 1.67 | 1.67 | 2.35 | — |
国土交通省の審議会資料には、等級6はG2仕様、等級7はG3仕様に相当する基準を採用。ただし5地域のUA水準について6地域と同水準とすると明記されています。つまり5地域だけ、等級6を取ってもHEAT20のG2には届きません。
| 水準 | 1・2地域 | 3地域 | 4地域 | 5地域 | 6地域 | 7地域 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| HEAT20 G1 | 0.34 | 0.38 | 0.46 | 0.48 | 0.56 | 0.56 |
| HEAT20 G2 | 0.28 | 0.28 | 0.34 | 0.34 | 0.46 | 0.46 |
| 等級6 | 0.28 | 0.28 | 0.34 | 0.46 | 0.46 | 0.46 |
| HEAT20 G3 | 0.20 | 0.20 | 0.23 | 0.23 | 0.26 | 0.26 |
| 等級7 | 0.20 | 0.20 | 0.23 | 0.26 | 0.26 | 0.26 |
国が等級6・7の水準をどう決めたかというと、暖冷房にかかる一次エネルギー消費量の削減率(概ね30%削減、概ね40%削減)を目安として水準を設定した、と審議会資料に書かれています。等級6=等級4比で約30%削減(地域幅 27〜37%)、等級7=約40%削減(39〜56%)。「等級6なら室温が◯℃」という国の公式な数字は存在しません。
室温の目安として引用できるのは、HEAT20が示す冬期の最低体感温度(3%タイル値)のシナリオだけです。これはHEAT20の試算であって国の基準ではない、と主語を明示して使うべき数字です。
| HEAT20の水準 | 1・2地域の最低体感温度 | 3〜7地域の最低体感温度 | 設定の考え方 | 暖房負荷削減率 |
|---|---|---|---|---|
| G1 | 概ね13℃を下回らない | 概ね10℃を下回らない | 非暖房室の結露防止 | 約20〜45% |
| G2(≒等級6) | 概ね15℃を下回らない | 概ね13℃を下回らない | 温度むらを小さくし居住快適性を向上 | 約35〜60% |
| G3(≒等級7) | 概ね16℃を下回らない | 概ね15℃を下回らない | 温度ストレスの軽減 | 約55〜80% |
分母が外皮面積の合計である以上、同じ断熱仕様でも、凹凸の少ない総二階の四角い家のほうがUA値は良く出ます。逆に、平屋・L字・下屋の多い家は外皮面積が増えるので不利になる。UA値は建物の形状も含んだ指標であって、断熱材の性能そのものではありません。
そして分母には窓も入ります。窓を小さくすればUA値は改善する——けれどそれは冬の日射取得を捨てる設計でもあります。数字だけを追うと、こういう本末転倒が起きます。
C値(気密)は、国の基準に存在しません。現行の省エネ基準(平成28年国土交通省告示第266号)の外皮基準は、UA値・ηAC値・部位別の熱抵抗値・開口部U値だけで構成されており、気密性能の規定はありません。
世間で言われる「C値1.0以下」「0.5以下」に法的根拠はなく、実務者・工務店が自主的に置いている目標値です。国土交通省の設計ガイドも 気密性能の基準は定められていませんが、ひとつの目安として、HEAT20では、断熱のレベルにかかわらず目指すべき気密性能C値は0.7±0.2cm²/㎡ と、HEAT20の数値を借りる形で紹介しています。かつて平成11年(次世代省エネ)基準には気密住宅の規定があったとされますが、その削除の経緯を示す一次資料には到達できていません。
2025年4月1日以降に工事に着手する新築住宅は、すべて省エネ基準(=断熱等性能等級4のUA値+一次エネルギー消費量等級4/BEI≦1.0)への適合が義務になりました。仕様基準で評価する場合は省エネ適合性判定が不要です。
なお「2030年度までにZEH水準(等級5)が義務化される」という言い方をよく見かけますが、施行日の決まった法令としては確認できません。国土交通省のサイトにあるのは「建物の省エネ基準は遅くとも2030年までに大きく引き上げられ、より高性能な建物が求められます」という方針の記述までです。このページでは断定を避けます。
出典:国土交通省 報道発表資料、国土交通省「家選びの基準変わります」。一次エネルギー消費量等級は断熱等性能等級とは別系統で、等級4=BEI≦1.0、等級5=0.9、等級6=0.8。「断熱等級6」と「一次エネ等級6」は別物なので、住宅性能評価書を読むときは混同に注意してください。グラスウール、ウレタン、フェノール、セルロース、羊毛——素材の名前で語ると比べられません。国は断熱材を λ の値で A-1 から F までの7段階に区分しています。まずこの物差しに全部載せます。
| 区分 | 熱伝導率 λ | 告示が例示する断熱材 |
|---|---|---|
| A-1 | 0.052〜0.051 | ブローイング用グラスウール(吹込み)13K・18K、タタミボード15mm、A級インシュレーションボード9mm、シージングボード9mm |
| A-2 | 0.050〜0.046 | グラスウール10K(普通品)相当、吹込み用ロックウール25K |
| B | 0.045〜0.041 | グラスウール16K・20K(普通品)相当、EPS保温板4号、押出法ポリスチレンフォーム1種1号・1種2号 |
| C | 0.040〜0.035 | グラスウール24K・32K(普通品)、高性能グラスウール16K・24K・32K、住宅用ロックウール、EPS1〜3号、XPS1種、吹付け硬質ウレタンフォームA種3、吹込み用セルローズファイバー25K・45K・55K |
| D | 0.034〜0.029 | 高性能グラスウール40K・48K、EPS特号、XPS2種、硬質ウレタンフォーム保温板1種、吹付け硬質ウレタンフォームA種1・A種2、フェノールフォーム2種2号 |
| E | 0.028〜0.023 | XPS3種、硬質ウレタンフォーム保温板2種1号〜4号、フェノールフォーム2種3号 |
| F | 0.022 以下 | フェノールフォーム保温板1種1号・1種2号(ネオマフォーム等) |
高性能グラスウール16K(λ0.038)を 100mm 入れると、熱抵抗は R=0.100÷0.038=2.63。この同じ 2.63 を、他の断熱材なら何mmで出せるのか。
| 断熱材(代表商品) | λ | 区分 | R2.63に必要な厚み | 高性能GW16K 100mm比 |
|---|---|---|---|---|
| VIP-Build(真空断熱材) | 0.004 | 区分外 | 11 mm | 0.11倍 |
| ネオマゼウス | 0.018 | F | 47 mm | 0.47倍 |
| ネオマフォーム/アクアフォームNEO | 0.020 | F | 53 mm | 0.53倍 |
| キューワンボード | 0.021 | F | 55 mm | 0.55倍 |
| ミラフォームΛ/スタイロフォームFG | 0.022 | F | 58 mm | 0.58倍 |
| カネライトスーパーE/スタイロEX/アキレスボード | 0.024 | E | 63 mm | 0.63倍 |
| スタイロエース-Ⅱ/ミラフォームMKS | 0.028 | E | 74 mm | 0.74倍 |
| 高性能グラスウール36K/アクリアウールα | 0.032 | D | 84 mm | 0.84倍 |
| アクアフォーム(100倍発泡)/サーモウールNEO | 0.033 | D | 87 mm | 0.87倍 |
| EPS特号/スタイロフォームB2 | 0.034 | D | 89 mm | 0.89倍 |
| 太陽SUNR(パラマウント硝子・20K) | 0.035 | C | 92 mm | 0.92倍 |
| 高性能グラスウール24K/アクリアウール/ミラフォームM1F | 0.036 | C | 95 mm | 0.95倍 |
| 高性能グラスウール16K・14K(アクリアネクスト)/グラスウール24K(普通品)/ロックウール(ホームマット・アムマット)/シュタイコフレックス038 | 0.038 | C | 100 mm | 1.00倍(基準) |
| セルロースファイバー(デコス)/XPS1種 | 0.040 | C | 105 mm | 1.05倍 |
| グラスウール20K(普通品) | 0.042 | B | 110 mm | 1.10倍 |
| グラスウール16K(普通品) | 0.045 | B | 118 mm | 1.18倍 |
| グラスウール10K(普通品) | 0.050 | A-2 | 132 mm | 1.32倍 |
| ブローイング用グラスウール(吹込み)13K・18K | 0.052 | A-1 | 137 mm | 1.37倍 |
充填断熱は、柱の見付け寸法までしか入りません。105mm柱に高性能グラスウール16Kを充填したときの熱抵抗は R2.76。ここが在来軸組の物理的な天井です。
λ と厚み展開、そして防湿層が製品に付いているかどうか。カタログで最初に見るべきはこの3点です。防湿層なしの製品は、別張りの防湿シートと施工手間が必ず追加されます。
カタログで最初に混乱するのがここです。同じ「グラスウール」でも、普通品・高性能品・ブローイング用の3種類があり、性能も施工方法も別物です。
| 呼び方 | 正式には | λ の範囲 | 形と施工 | どこで使うか |
|---|---|---|---|---|
| グラスウール(普通品) 10K・16K・20K・24K | 住宅用グラスウール断熱材(JIS A 9521) | 0.050〜0.038 | マット状。防湿フィルムの「耳」が付いた袋入りを、柱の間に手で押し込む | 壁・天井の充填。いちばん安い |
| 高性能グラスウール 14K・16K・24K・36K | 高性能グラスウール断熱材(同上) | 0.038〜0.032 | 同じくマット状。繊維が細く密に作られている | 壁・天井の充填。いま新築でいちばん多い |
| ブローイング(吹込み) 13K・18K・30K・35K | 吹込み用グラスウール断熱材(JIS A 9523) | 0.052〜0.038 | ふわふわの綿状。専用の機械でホースから吹き込む。マットのような板の形はしていない | 主に天井(小屋裏)。厚みを稼ぎやすく、配線まわりの隙間を埋められる |
| メーカー・商品 | 密度 | λ | 厚み | 防湿層 | 設計価格(材料のみ) |
|---|---|---|---|---|---|
| 旭ファイバーグラス アクリアネクスト | 14K | 0.038 | 89・105mm | 高性能防湿フィルム付(50μm) | 7,390〜8,180円/坪(約2,240〜2,470円/㎡) |
| 旭ファイバーグラス アクリアネクストα | 20K・28K | 0.033〜0.034 | 89・105・140mm | 防湿フィルム付 | 12,240円/坪(約3,700円/㎡) |
| 旭ファイバーグラス アクリアウール | 16〜24K | 0.036〜0.038 | 50〜140mm | なし(別張り防湿シート必須) | 4,300〜16,440円/坪 |
| 旭ファイバーグラス アクリアウールα | 20・28・36K | 0.032〜0.034 | 89・105・120・140mm | なし(別張り必須) | 7,790〜14,390円/坪 |
| 旭ファイバーグラス アクリアマット | 10〜16K | 0.037〜0.043 | 50・100・155mm | 防湿フィルム付(18μm) | 2,450〜11,350円/坪 |
| 旭ファイバーグラス アクリアUボードピンレス | 24K | 0.036 | 90・105・120mm | —(床・剛床用) | 10,320〜13,860円/坪 |
| 旭ファイバーグラス アクリアジオス | 32K | 0.035 | 45mm(外張り用) | — | 8,690円/坪(約2,630円/㎡) |
| マグ・イゾベール イゾベール・コンフォート | 10.0〜36.0kg/m³ | 0.033/0.035/0.038 | 105mm ほか | なし(別途防湿層の施工が必要) | 確認できず |
| マグ・イゾベール イゾベール・スタンダード | 同上 | 0.032〜0.038 | 確認できず | 防湿層付き | 確認できず |
| パラマウント硝子工業 太陽SUNR(SRJ) | 20kg/m³ | 0.035 | 89・105・120・140・200mm | — | 確認できず |
| メーカー・商品 | 密度 | λ | 厚み | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| ニチアス ホームマット | 30kg/m³以上 | 0.038以下 | 55・75・90・100・140・155mm | 不燃材料 NM-4203、F☆☆☆☆ |
| ニチアス ホームマットNEO | 30kg/m³以上 | 0.038以下 | 90・105mm | 高気密高断熱住宅向け |
| ニチアス ホームブローウール(吹込み) | 25以上(天井)/60以上(壁床) | 0.047以下(天井)/0.038以下(壁等) | 天井190〜600mm/屋根床壁90〜400mm | JIS A 9523、告示1400号 不燃材料 |
| JFEロックファイバー アムマット | 30kg/m³以上 | 0.038 | 40〜105mm | 防湿フィルム18μm貼り、耳幅約30mm |
| デコス デコスファイバー(デコスドライ工法) | 施工目標55kg/m³以上 | 0.040 | 乾式吹込み | JIS A 9523、新聞紙リサイクル、調湿・吸音、防火構造認定あり |
| メーカー・商品 | λ | 区分 | JIS区分 | 厚み |
|---|---|---|---|---|
| 旭化成建材 ネオマゼウス | 0.018 | F | フェノールフォーム1種2号EⅡ | 確認できず(R2.5=45mm の記載あり) |
| 旭化成建材 ネオマフォーム | 0.020以下 | F | フェノールフォーム1種2号CⅡ/密度27kg/m³以上 | 25・30・35・40・45・50・60・66・80・90・95・100mm |
| アキレス キューワンボード | 0.021以下 | F相当 | 硬質ウレタンフォーム2種2号DⅠ/密度32kg/m³ | 25・30・36・40・45・50・61mm(MAは貼合せで最大100mm) |
| JSP ミラフォームΛ(ラムダ) | 0.022以下 | F | XPS 3種aD/密度25kg/m³以上 | 確認できず |
| デュポン・スタイロ スタイロフォームFG | 0.022 | F | XPS 3種bD | 確認できず |
| カネカ カネライトフォーム スーパーE | 0.024 | E | XPS 3種b/密度25kg/m³以上 | 20〜100mm(910×1,820) |
| デュポン・スタイロ スタイロフォームEX | 0.024 | E | XPS 3種bC | 確認できず |
| アキレスボード(PE/ALN/AG) | 0.024以下 | E | 硬質ウレタンフォーム2種2号AⅠ相当/密度25kg/m³以上 | 10〜100mm |
| デュポン・スタイロ スタイロエース-Ⅱ/スタイロフォームAT | 0.028 | E | XPS 3種bA | 確認できず |
| JSP ミラフォームMKS | 0.028以下 | E | XPS 3種bA/密度25kg/m³以上 | 確認できず |
| デュポン・スタイロ スタイロフォームB2 | 0.034 | D | XPS 2種bA | 確認できず |
| デュポン・スタイロ スタイロフォームIB/JSP ミラフォームM1F | 0.036 | C | XPS 1種bC/密度20kg/m³以上 | 確認できず |
| 厚さ | 熱抵抗 R | 1枚価格 | ㎡換算 | 厚さ | 熱抵抗 R | 1枚価格 | ㎡換算 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 25mm | 1.3 | 4,400円 | 約2,660円 | 60mm | 3.0 | 8,130円 | 約4,910円 |
| 30mm | 1.5 | 4,900円 | 約2,960円 | 66mm | 3.3 | 8,690円 | 約5,250円 |
| 35mm | 1.8 | 5,400円 | 約3,270円 | 80mm | 4.0 | 11,840円 | 約7,150円 |
| 40mm | 2.0 | 5,920円 | 約3,580円 | 90mm | 4.5 | 13,400円 | 約8,090円 |
| 45mm | 2.3 | 6,580円 | 約3,970円 | 95mm | 4.8 | — | — |
| 50mm | 2.5 | 7,110円 | 約4,290円 | 100mm | 5.0 | 14,220円 | 約8,590円 |
| 商品(日本アクア) | JIS A 9526 区分 | λ | 密度 | 透湿性 | 防湿層 |
|---|---|---|---|---|---|
| アクアフォーム | A種3(100倍発泡・低密度) | 0.033 | 14 kg/m³ | 15.0 ng/(m·s·Pa) | 省エネ基準上、室内側防湿層が原則必要 |
| アクアフォームNEO | A種1H(30倍発泡・高密度) | 0.020 | 35 kg/m³ | 1.5 ng/(m·s·Pa) | 不要(透湿抵抗が大きく設置を求められない) |
| アクアフォームLITE | A種3 | 0.036 | 確認できず | 確認できず | 確認できず |
透湿性が10倍違う。これが「防湿層が要るか要らないか」の分かれ目です。同じ「吹き付けウレタン」でも、100倍発泡(A種3)と30倍発泡(A種1H)はλで1.65倍、密度で2.5倍、透湿性で10倍の差があります。
材料単価だけ見れば30倍発泡は高い。けれど防湿シート代・気密テープ代・張る手間がまるごと消えるので、外皮全体のコストで比べないと判断を誤ります。逆に100倍発泡を選んで防湿層を省略した施工は、そのまま壁体内結露のリスクになります。
| 商品 | λ | 密度 | 特徴 | 価格(材料のみ) |
|---|---|---|---|---|
| シュタイコフレックス038(STEICO・木繊維) | 0.038 | 50 kg/m³ | 比熱 2,100 J/(kg·K)=グラスウール(約840)の約2.5倍 | 確認できず |
| サーモウール スタンダードF(羊毛60%) | 0.038 | 27 kg/m³ | 105mm厚 | 1,200〜3,600円/㎡(羊毛の相場) |
| サーモウールNEO | 0.033 | 41 kg/m³ | 105mm厚 | 同上 |
| 炭化コルク(ポルハコルク・ジャパン) | 0.037(実測)/0.040(申告) | 110〜120 kg/m³ | 接着剤不使用(バインダーはコルク自身の樹脂)、ホルムアルデヒド不含・吸着、ダニ忌避 | 50mm厚 2,334円/枚(約4,180円/㎡) |
| VIP-Build(旭ファイバーグラス・真空断熱材) | 0.004 | — | 16mm厚でR4.0=ネオマフォーム80mm相当。2022年7月に建築用真空断熱材として国内初のJIS認証(JIS A 9529) | 8,040円/枚(約23,900円/㎡) |
カタログに載るのは初期の λ です。発泡プラスチック系は発泡ガスが経年で抜け、λ が上がっていきます。旭化成建材はネオマフォームについて25年後の推定平均 λ=0.02047(初期0.020)を公表しています。100ミクロン未満の微細気泡構造とノンフロン(炭化水素ガス)発泡によるもので、25年でほぼ動かない。
アキレスもキューワンボードの訴求に「経時断熱性能に優れた」という表現を使っています。裏を返せば、ウレタン・PIR系は経時でλが低下しうることを業界自身が前提にしているということです。初期λが同じでも、30年住む家の性能は同じではありません。
地域区分は「外気温傾向」で8つに分けられたものです。分けられていないものが、日照・湿度・積雪・風。同じ区分の中でも、冬の条件はまったく違います。ここからが、断熱材マニアの本題です。
地域区分は市町村単位で決められています。県内で複数の区分にまたがるのが普通で、単一区分に収まっているのは富山県(5地域)・香川県(6地域)・佐賀県(6地域)・沖縄県(8地域)の4県だけです。
逆に最も分かれているのは東京都・栃木県・群馬県の3都県で、それぞれ5つの区分を抱えています。
| 都道府県 | 県庁所在地 | 所在地の区分 | 県内に存在する区分 | 県内の落差 |
|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 札幌市 | 2 | 1・2・3 | 1=夕張・士別・名寄・占冠・幌加内などの内陸寒冷地/3=函館・室蘭・松前などの道南 |
| 青森県 | 青森市 | 3 | 2・3・4 | 2=平川市(旧碇ヶ関村)/4=鰺ヶ沢町・深浦町 |
| 岩手県 | 盛岡市 | 3 | 2・3・4 | 2=葛巻町・岩手町・西和賀町など/4=宮古・大船渡・北上・一関 |
| 宮城県 | 仙台市 | 5 | 3・4・5 | 5は仙台市・多賀城市・山元町の3市町だけ。県内の大半は4地域 |
| 秋田県 | 秋田市 | 4 | 2・3・4・5 | 2=小坂町/5=にかほ市 |
| 山形県 | 山形市 | 4 | 3・4・5 | 5=酒田市(旧酒田市)/3=新庄・長井・尾花沢・南陽 |
| 福島県 | 福島市 | 5 | 2・3・4・5 | 2=檜枝岐村・南会津町の一部/5=福島・郡山・いわき・浜通り |
| 茨城県 | 水戸市 | 5 | 4・5・6 | 4=城里町(旧七会村)・大子町/6=日立・古河・鹿嶋・神栖・守谷 |
| 栃木県 | 宇都宮市 | 5 | 2・3・4・5・6 | 2=日光市(旧栗山村)/6=足利市・佐野市。県内で5区分 |
| 群馬県 | 前橋市 | 6 | 2・3・4・5・6 | 2=嬬恋村・草津町・片品村/6=高崎・太田・館林。県内で5区分 |
| 埼玉県 | さいたま市 | 6 | 4・5・6 | 4=秩父市(旧大滝村)/6=県東部・南部の平野部 |
| 千葉県 | 千葉市 | 6 | 5・6・7 | 5=印西・富里・栄町・神崎町/7=館山市・勝浦市 |
| 東京都 | 東京23区 | 6 | 4・5・6・7・8 | 4=檜原村・奥多摩町/7=伊豆諸島/8=小笠原村。八王子市は6。都内で5区分 |
| 神奈川県 | 横浜市 | 6 | 5・6・7 | 5=山北町・愛川町・清川村/7=横須賀・藤沢・三浦 |
| 新潟県 | 新潟市 | 5 | 4・5 | 4=小千谷・十日町・魚沼・南魚沼・湯沢・津南などの豪雪地 |
| 富山県 | 富山市 | 5 | 5 のみ | 県内全域が5地域。単一区分 |
| 石川県 | 金沢市 | 6 | 3・4・5・6 | 3=白山市(旧白峰村)/6=金沢・小松・野々市 |
| 福井県 | 福井市 | 6 | 4・5・6 | 4=池田町/5=大野・勝山・あわら・坂井 |
| 山梨県 | 甲府市 | 6 | 3・4・5・6 | 甲府市自体が3区分に分かれる:旧上九一色村=4/旧中道町=5/旧甲府市=6。3=忍野村・山中湖村・鳴沢村 |
| 長野県 | 長野市 | 4 | 2・3・4・5 | 2=軽井沢町・川上村・南牧村・木祖村など/5=飯田市・喬木村。松本市は4 |
| 岐阜県 | 岐阜市 | 6 | 3・4・5・6 | 3=飛騨市・白川村・郡上市(旧高鷲村)/高山市は4 |
| 静岡県 | 静岡市 | 7 | 5・6・7 | 5=御殿場市・小山町・川根本町。浜松市は6で、静岡市より寒冷側 |
| 愛知県 | 名古屋市 | 6 | 4・5・6・7 | 4=豊根村・豊田市(旧稲武町)/7=豊橋市 |
| 三重県 | 津市 | 6 | 5・6・7 | 津市が2区分に分かれる:旧美杉村=5/その他=6。7=熊野市・御浜町・紀宝町 |
| 滋賀県 | 大津市 | 5 | 5・6 | 6=近江八幡市・草津市・守山市の3市のみ |
| 京都府 | 京都市 | 6 | 5・6 | 5=福知山・綾部・宮津・亀岡・京丹後などの内陸北部 |
| 大阪府 | 大阪市 | 6 | 5・6・7 | 5=豊能町・能勢町/7=岬町 |
| 兵庫県 | 神戸市 | 6 | 4・5・6 | 4=香美町(旧村岡町・旧美方町)/5=豊岡・丹波篠山・養父・宍粟 |
| 奈良県 | 奈良市 | 6 | 3・4・5・6 | 奈良市が2区分に分かれる:旧都祁村=4/その他=6。3=野迫川村 |
| 和歌山県 | 和歌山市 | 7 | 4・5・6・7 | 4=高野町/7=和歌山市・新宮・白浜などの沿岸 |
| 鳥取県 | 鳥取市 | 6 | 4・5・6 | 4=若桜町・日南町・日野町 |
| 島根県 | 松江市 | 6 | 4・5・6 | 4=飯南町・吉賀町 |
| 岡山県 | 岡山市 | 6 | 4・5・6 | 4=新庄村・西粟倉村・吉備中央町・真庭市の一部 |
| 広島県 | 広島市 | 6 | 3・4・5・6 | 3=廿日市市(旧吉和村)/4=庄原市の一部・安芸太田町・神石高原町 |
| 山口県 | 山口市 | 6 | 5・6・7 | 7=下関市(旧豊田町を除く)/5=美祢市・萩市の一部 |
| 徳島県 | 徳島市 | 6 | 5・6・7 | 5=三好市・上勝町/7=小松島・阿南・美波・海陽 |
| 香川県 | 高松市 | 6 | 6 のみ | 県内全域が6地域。単一区分 |
| 愛媛県 | 松山市 | 7 | 4・5・6・7 | 4=久万高原町・新居浜市(旧別子山村)/今治・西条などは6 |
| 高知県 | 高知市 | 7 | 4・5・6・7 | 4=いの町(旧本川村)・梼原町 |
| 福岡県 | 福岡市 | 7 | 5・6・7 | 5=東峰村/北九州市は6で、福岡市より寒冷側 |
| 佐賀県 | 佐賀市 | 6 | 6 のみ | 県内全域が6地域。単一区分 |
| 長崎県 | 長崎市 | 7 | 6・7 | 6=佐世保・松浦・対馬・東彼杵などの北部 |
| 熊本県 | 熊本市 | 7 | 5・6・7 | 5=阿蘇市・高森町・南阿蘇村・小国町などの阿蘇地域 |
| 大分県 | 大分市 | 7 | 5・6・7 | 大分市が2区分に分かれる:旧野津原町=6/その他=7。5=九重町・玖珠町 |
| 宮崎県 | 宮崎市 | 7 | 5・6・7 | 5=椎葉村・五ヶ瀬町/6=小林・えびの・高千穂 |
| 鹿児島県 | 鹿児島市 | 7 | 6・7・8 | 6=伊佐市・湧水町/8=奄美群島全域(奄美市・徳之島・与論など) |
| 沖縄県 | 那覇市 | 8 | 8 のみ | 県内全域が8地域。単一区分 |
古い資料の区分を、そのまま使っていませんか。地域区分は令和元年11月の国土交通省告示第783号で改正され、経過措置を経て2021年4月1日から新区分が完全適用されています。この改正で、多くの市町村がより温暖側へ1つシフトしました。
たとえば仙台市は4→5、福島市は4→5、福岡市は6→7、旭川市は1→2、八王子市・立川市は5→6。ところが「1=旭川、2=札幌、3=盛岡、4=仙台、5=宇都宮…」という改正前の代表都市リストが、いまも資料やスライドに残って流通しています。これが混乱のいちばんの発生源です。
ネットでよく見かける「仙台=4地域」「福岡=6地域」「福島=4地域」は、いずれも改正前の値です。古い区分で設計すると、1ランク厳しい(または緩い)基準で計算してしまうことになります。なお新潟市は改正の前後を通じて一貫して5地域で、「6地域」とする記載は誤りです。
下の14都市は、すべて6地域です。同じ区分、同じ等級6なら求められるUA値も同じ 0.46。それでも冬の条件はこれだけ違います。
| 都市(すべて6地域) | 年平均気温 | 1月 日平均 | 1月 日最低 | 1月 日照 | 1月 降水量 | 1月 湿度 | 年 降雪合計 | 8月 日平均 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 甲府 | 15.1℃ | 3.1℃ | −2.1℃ | 209.1 h | 42.7 mm | 55% | 23 cm | 27.1℃ |
| 横浜 | 16.2℃ | 6.1℃ | 2.7℃ | 192.7 h | 64.7 mm | 53% | 9 cm | 27.0℃ |
| 東京23区 | 15.8℃ | 5.4℃ | 1.2℃ | 192.6 h | 59.7 mm | 51% | 8 cm | 26.9℃ |
| 名古屋 | 16.2℃ | 4.8℃ | 1.1℃ | 174.5 h | 50.8 mm | 64% | 12 cm | 28.2℃ |
| 岐阜 | 16.2℃ | 4.6℃ | 0.7℃ | 161.3 h | 65.9 mm | 66% | 34 cm | 28.3℃ |
| 大阪 | 17.1℃ | 6.2℃ | 3.0℃ | 146.5 h | 47.0 mm | 61% | 1 cm | 29.0℃ |
| 神戸 | 17.0℃ | 6.2℃ | 3.1℃ | 145.8 h | 38.4 mm | 62% | 1 cm | 28.6℃ |
| 高松 | 16.7℃ | 5.9℃ | 2.1℃ | 141.4 h | 39.4 mm | 63% | 1 cm | 28.6℃ |
| 広島 | 16.5℃ | 5.4℃ | 2.0℃ | 138.6 h | 46.2 mm | 66% | 8 cm | 28.5℃ |
| 京都 | 16.2℃ | 4.8℃ | 1.5℃ | 123.5 h | 53.3 mm | 67% | 15 cm | 28.5℃ |
| 鳥取 | 15.2℃ | 4.2℃ | 1.1℃ | 69.0 h | 201.2 mm | 76% | 140 cm | 27.3℃ |
| 松江 | 15.2℃ | 4.6℃ | 1.5℃ | 67.4 h | 153.3 mm | 76% | 68 cm | 27.1℃ |
| 福井 | 14.8℃ | 3.2℃ | 0.5℃ | 65.4 h | 284.9 mm | 82% | 186 cm | 27.4℃ |
| 金沢 | 15.0℃ | 4.0℃ | +1.2℃ | 62.3 h | 256.0 mm | 74% | 157 cm | 27.3℃ |
読み方は4つあります。
① 1月の日照時間は、甲府209.1時間に対して金沢62.3時間。3.4倍の差。しかも年平均気温は甲府15.1℃、金沢15.0℃でほぼ同じです。太平洋側・内陸では冬の日射取得(南面の大きな開口+高日射取得型Low-E)が暖房戦略として成立しますが、日本海側では日射がほぼ当てにできません。日本海側は「取得」ではなく「損失を減らす」——UA値・気密・熱橋処理に投資すべき地域です。同じ6地域・同じ等級6でも、設計の中身は逆になります。
② 甲府の1月の日最低気温は−2.1℃、金沢は+1.2℃。年平均気温はほぼ同じなのに、甲府のほうが朝は3℃以上寒い。内陸で晴れるから放射冷却で冷え込み、日本海側は雲と海が保温している。「寒い=北」ではなく「晴れる内陸ほど朝が冷える」のです。非暖房室の朝の温度を問題にするなら、見るべきは年平均気温ではなく日最低気温です。
③ 1月の相対湿度は福井82%・鳥取76%・松江76%・金沢74%に対し、東京51%・横浜53%・甲府55%。日本海側では壁体内結露と外皮の乾燥性能(透湿抵抗比・通気層)の重要度が段違いに上がります。太平洋側はむしろ冬の過乾燥への対策側。
④ 8月の日平均気温は14都市とも26.9〜29.0℃で、ほとんど差がつきません。夏の暑さは地域区分でも地理でもあまり差がつかず、差がつくのは冬です。1〜4地域にηAC基準が設定されていないのも、これと整合します。
省エネ基準には、気温にもとづく地域区分(1〜8地域)とは別に、年間の日射地域区分(A1〜A5)と暖房期の日射地域区分(H1〜H5)が独立して定められています。そして住宅金融支援機構は「低日射地域とは、年間の日射地域区分において、その区分がA1またはA2となる地域」と定義しています。
さらに2026年度の補助事業「みらいエコ住宅2026事業」のGX志向型住宅では、再生可能エネルギーを含む一次エネルギー削減率の要件が、一般地域100%以上に対して寒冷地・低日射地域は75%以上に緩和されています。多雪地域・都市部狭小地等は要件なし。
つまり国は、「同じUA値でも日射条件が違えば必要なエネルギーは違う」と制度で認めている。断熱等級という一本の物差しの外側に、日射という別の物差しを国が用意しているわけです。日本海側(北陸・山陰・東北日本海側)で家を建てるなら、等級の数字だけを見ていては届かない領域があります。
HEAT20のサイトには、代表都市以外での外皮平均熱貫流率UA値は、別途地域補正する必要があり、公表している数値はあくまで参考として示しているに過ぎないと明記されています。HEAT20は「外皮性能水準地域補正ツール」も提供しています。
G2=UA0.46 という数字を掲げている当のHEAT20が、その数字は代表都市のものだと断っている。ここは見落とされがちです。
令和7年3月の「省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅の設計ガイド」(国土交通省住宅局 編集協力)には、UA値以外のことがずらりと書かれています。
| 論点 | ガイドの記述 |
|---|---|
| 室温 | UA0.46(等級6)で暖房期の最低室温が概ね13℃を下回らない、UA0.26(等級7)で概ね15℃を下回らない |
| 気密 | 気密性能の基準は定められていないが、目安としてHEAT20のC値 0.7±0.2cm²/㎡。気密の目的は①漏気による熱損失抑制、②計画換気の明確化、③壁体内への湿気流入抑止 |
| 日射取得・遮蔽 | 地域別・方位別の開口部のガラスの種類・大きさ・配置による日射調整。等級7の場合、温暖地や寒冷地の南面は、冬期のオーバーヒートを考慮して日射遮蔽型とすることも考えられる |
| 季節の考え方 | 夏期は初夏から9月頃までを含めて日射しをしっかり遮る。冬期は寒さが残る3月頃までの日射しを室内に取り入れられる計画 |
| 通風・換気 | 中間期における通風・換気による排熱。地窓と高窓を組み合わせ上下温度差を利用した通風 |
| 夏型結露 | 夏の蒸し暑い日中、室外からの水蒸気の侵入によって、冷房で冷やされた内装下地に結露が発生するおそれ。冷房設定温度を低くしすぎないよう居住者に伝える、調湿断熱材を用いる方法もある |
| 東西面 | 東西面はやや小さめの開口部を設け、夏期の日射取得を小さくして冷房負荷の増大を抑制。軒・庇の先端にはすだれやスクリーンを掛けられるよう工夫 |
専門家の言葉で締めるなら。松尾設計室の松尾和也氏は、日本の住宅が「”数字の勝負”に寄りすぎている」と指摘しています。本来追うべきは暖房負荷・冷房負荷こそが本丸だが、国の共通基準になっておらず計算も複雑なため、見栄えの分かりやすいUA値・C値だけが独り歩きしている。冬季の日射取得と夏季の遮蔽が図面に落とし込まれていなければ、UA値が良くても実態としての負荷は下がらない——窓を小さくしてUA値だけコントロールするのは「近視眼的」である、と。
等級6は取るべきです。補助金のスタートラインでもあります。けれど等級6は、その土地の冬がどう寒いのかを読んだ設計の、入口にすぎない。
断熱材の種類を決めても、設計はまだ半分です。基礎か床か。天井か屋根か。柱の間か、外側か。それぞれに、性能・湿気・シロアリ・コストの取引があります。
違いは一点だけ。床下を室内側と考えるか、屋外側と考えるかです。この一点から、床下換気孔の有無、気密の取りやすさ、シロアリのリスク、湿気の出方まで全部が枝分かれします。
| 方式 | 施工 | 特徴と注意点 |
|---|---|---|
| 基礎外断熱 | 型枠と同時打込みを標準/基礎最下部〜天端まで | 熱橋が最も少なく基礎躯体の熱容量を活かせる。一方で蟻道が断熱材と仕上材の間に隠れ、外から目視発見できない。紫外線劣化対策として脱型後速やかに外装仕上げが必要 |
| 基礎内断熱 | 同時打込みまたは後貼り | 蟻道が室内側で目視可能。ただしアンカーボルト・ホールダウン金物が熱橋となり結露の可能性。底盤部・間仕切り部にも立上りと同厚の断熱材を900mm程度折り返して熱橋対策 |
| 基礎両側断熱 | 外+内の併用 | 最も熱損失が小さいが、外側の蟻害リスクは外断熱と同じ。両側断熱についての独立した公的規定・性能データは確認できず |
「防蟻断熱材を使えばシロアリは入らない」は誤りです。デュポン・スタイロのスタイロフォームAT(防蟻用XPS)の施工要領書には、防蟻効果の確認がイエシロアリ・ヤマトシロアリに対してであること、そして忌避効果はありませんと明記されています。だから目地は別途処理が必要で、土壌処理・ベイトシステムの併用が推奨されています。新築の外側断熱は同時打込み工法とすることという指定もあります。
| シロアリの種 | 分布 | 設計上の意味 |
|---|---|---|
| ヤマトシロアリ | 北海道北部を除く日本全国 | 実質的に全国が対象。北海道でも防蟻対策の標準化が必要という報告がある |
| イエシロアリ | 神奈川県・千葉県の一部以西の温暖な海岸沿い、南西諸島、小笠原諸島に点在 | この生息域では基礎外断熱は慎重に。防蟻断熱材+土壌処理+ベイトの多重防御か、基礎内断熱を検討 |
| アメリカカンザイシロアリ | 外来種。1976年に東京都江戸川区で国内初確認、現在は全国に散在的に分布 | 蟻道を作らず乾材の中で一生を過ごすため、床下点検では発見できない。0.7〜1mm弱の俵状の糞が手がかり |
| ダイコクシロアリ | 奄美大島以南 | — |
| 項目 | 規定 |
|---|---|
| 床下換気孔 | 基礎断熱工法とする場合は設置しない。FAQでも「設置してはいけません」と明言 |
| 断熱材の熱抵抗値 | 1・2地域 1.2 ㎡·K/W以上/3〜7地域 0.6以上/8地域 規定なし |
| 床下防湿措置 | ①防湿フィルム0.1mm以上を敷き詰め、重ね幅300mm以上、厚さ50mm以上のコンクリート等で押さえる、または②厚さ100mm以上のコンクリート打設 |
| 防蟻措置 | べた基礎で覆う、または基礎と鉄筋により一体化したコンクリートで覆う(北海道等の指定県では省略可) |
| 基礎の高さ | 地面から基礎上端または土台下端まで40cm以上 |
| 防腐・防蟻 | 地面から高さ1m以内の部分について、耐久性区分D1樹種/薬剤処理材/真壁造+軒出90cm以上/通気層構造/小径12cm以上の製材、のいずれか |
| 部位(木造軸組・充填断熱) | 熱橋面積比率 |
|---|---|
| 外壁(柱・間柱間に断熱) | 0.17 |
| 床(根太間断熱) | 0.20 |
| 床(大引間断熱) | 0.15 |
| 床(床梁土台同面・根太間) | 0.30 |
| 天井(桁・梁間) | 0.13 |
| 屋根(垂木間) | 0.14 |
| 枠組壁工法 外壁(スタッド等) | 0.20 + まぐさ0.03 |
| 外壁の試算(高性能グラスウール16K 105mm・λ0.038/柱間柱λ0.12) | 熱抵抗 R | U値 |
|---|---|---|
| 断熱部(面積比 0.83) | 3.04 | 0.329 |
| 熱橋部=柱・間柱(面積比 0.17) | 1.15 | 0.868 |
| 面積比率法による壁全体 | 2.38 | 0.421 |
| +ネオマフォーム45mm を外張り(木下地なし1層) | — | 0.207 |
「付加断熱を厚くすればいい」で済まない理由がここにあります。ニチハの外張り断熱工法の施工基準(横胴縁仕様)を見ると、そもそも適用できる断熱厚が「50mm超〜100mm以下」に限定されており、その範囲の中でもビスの長さと間隔、外壁材の重量まで細かく決まっています。
| 項目(ニチハ 外張り断熱工法 横胴縁仕様) | 規定 |
|---|---|
| 適用断熱厚 | 50mm超〜100mm以下(これを超える厚さは基準の対象外) |
| 木胴縁 | スギ材:厚18mm以上/ベイツガ材:厚15mm以上の乾燥材。出隅部は幅120mm(条件により90mm) |
| 留付けビス | シネジック『パネリードⅡ(プラス)』指定 |
| ビス長さ | 断熱厚50〜65mm → φ6.0×135mm/65〜75mm → φ6.0×150mm/75〜100mm → φ6.0×185mm |
| ビス間隔 | 補助桟部(横架材下地あり)227.5mm以下/その他 455mm以下 |
| 外壁材の重量制限 | モエン重量(気乾)20.4kg/㎡以下 |
| 適用製品 | モエンサイディング-M、W(14mm)、モエンエクセラード(16mm)に限定 |
グラスウール、ロックウール、セルローズファイバーなどの繊維系断熱材を使う場合、外気等に接する部分には防湿層を設けることが原則です。省略できるのは次の3つの場合だけです。
最初にお断りします。断熱材の実勢価格(実行価格)が公開されている例はほとんどありません。手に入るのは「メーカー設計価格(材料のみ)」と「リフォーム相場(材工込み)」の2系統だけ。この2つを混ぜると数字が嘘になるので、分けて扱います。
| 断熱材 | λ | 天井 | 外壁 | 床 | 材料費 合計 | 高性能GWとの差額 |
|---|
| 断熱材(50mm厚) | 材料単価 |
|---|---|
| グラスウール16K | 650円/㎡ |
| 現場発泡ウレタン100倍 | 1,350〜1,500円/㎡ |
| セルロースファイバー | 1,500円/㎡ |
| ミラフォームΛ | 1,950円/㎡ |
| 現場発泡ウレタン30倍 | 3,000円/㎡ |
| 断熱材 | 1㎡単価 |
|---|---|
| グラスウール/ロックウール | 600〜1,800円 |
| ポリスチレンフォーム | 600〜3,000円 |
| 羊毛(ウールブレス) | 1,200〜3,600円 |
| 硬質ウレタンフォーム | 3,000〜6,000円 |
| フェノールフォーム | 3,000〜6,000円 |
| セルロースファイバー | 6,000〜9,000円 |
| 炭化コルク | 8,000円程度 |
数字の出どころがはっきりしている、いちばん使える実例です。延床約33坪・木造2階建て。外壁にネオマフォームt45の付加断熱を追加してHEAT20 G1をG2に上げた場合の内訳。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 外壁付加断熱 ネオマフォームt45 追加(材料) | +50万円 |
| 外壁付加断熱 取付専用ビス | +2万円 |
| 外壁付加断熱 大工取付手間(施工費) | +15万円 |
| 建物高さ上げに伴う追加費用(熱橋低減のため) | +25万円 |
| 合計 | 92万円(税抜)/101.2万円(税込) |
| 比較 | 差額 | 出典の性格 |
|---|---|---|
| グラスウール40万円 → セルロースファイバー約100万円 | 約60万円 | 工務店の公開情報(二次) |
| グラスウール40〜90万円 → アクアフォーム80〜150万円(延床100〜120㎡の全面改修) | 40〜60万円 | リフォーム系メディア(二次) |
| 相対コスト:グラスウール1倍 → 硬質ウレタン1.5〜2倍、吹付断熱2〜3倍 | — | 専門家コラム(二次) |
| 内容 | 追加費用 |
|---|---|
| 総予算3,000万円・30坪で 等級4 → 等級6 | 約60万円 |
| 総予算3,000万円・30坪で 等級4 → 等級7 | 約300万円 |
| 等級5 → 等級6 | 約100〜150万円 |
| 等級6にするための追加費用(冷暖房費は約30〜40%削減) | 約100〜200万円 |
| 30坪・東京神奈川の実売価格例:等級5 2,300〜2,350万円/等級6(2×6)2,450万円/等級7(2×6)2,650万円 | 等級5→7で約350万円 |
| 部位(5〜7地域) | 等級4 (UA0.87) | 等級5 (UA0.60) | 等級6 (UA0.46) | 等級7 (UA0.26) |
|---|---|---|---|---|
| 天井 | HG16-38 155mm | HG24-35 155mm | HG24-35 155mm | HG24-35 155mm×2層 |
| 外壁 | HG16-38 90mm | HG16-38 105mm | HG36-32 105mm | HG36-32 105mm×2層(充填+付加) |
| 床 | HG24-36 80mm | HG24-36 80mm | HG24-36 80mm | HG24-36 80mm |
| 窓(部位U値) | ≧4.7 | ≧2.3 | 1.40 | 1.00 |
| 地域 | 現在の省エネ住宅 | ZEH水準の省エネ住宅 | 削減額 | +太陽光 |
|---|---|---|---|---|
| 札幌市等 | 年346,000円 | 年250,000円 | ▲96,000円/年 | 年160,000円 |
| 東京都23区等 | 年239,000円 | 年193,000円 | ▲46,000円/年 | 年153,000円 |
正直に書きます。等級6の追加費用を、光熱費だけで回収するのは簡単ではありません。ある設計事務所の公開情報では、等級5で年約15万円の光熱費が等級6で年約12万円、年2〜3万円の削減。追加費用100〜150万円に対して「年3万円なら30年で90万円」と、回収しきらないことを率直に書いています。一方で「35年の住宅ローン期間でシミュレーションすると、光熱費の削減総額が追加費用を上回る」とする試算もあり、前提しだいで結論が変わります。投資回収年数の公的試算は確認できませんでした。
だからこそ、判断材料は光熱費だけではありません。冬の朝、非暖房室が何℃なのか。その土地の冬に、日射が当てにできるのか。壁の中が乾くのか。等級6という数字は、その問いに答えるための入口であって、答えそのものではない。
2026年度に実施中なのは「みらいエコ住宅2026事業(Me住宅2026)」です。前年度の「子育てグリーン住宅支援事業」とは別の事業名なので、間違えると信頼を落とします。
| 住宅タイプ | 1〜4地域 | 5〜8地域 | 古家除却加算 | 対象世帯 | 断熱等性能等級 |
|---|---|---|---|---|---|
| GX志向型住宅 | 125万円 | 110万円 | なし | 全世帯 | 等級6以上 |
| 長期優良住宅 | 80万円 | 75万円 | +20万円 | 子育て・若者夫婦世帯のみ | 等級5以上 |
| ZEH水準住宅 | 40万円 | 35万円 | +20万円 | 子育て・若者夫婦世帯のみ | 等級5以上 |
GX志向型住宅の要件は、断熱等性能等級6以上に加えて、一次エネルギー削減率が再エネ除きで35%以上、再エネ含みで一般地域100%以上/寒冷地・低日射地域75%以上/多雪地域・都市部狭小地等は要件なし。そして高度エネルギーマネジメント(HEMS等)の導入。
| スケジュール | 期日 |
|---|---|
| 着工要件 | 2025年11月28日以降に基礎工事に着手したもの |
| 交付申請予約 | 2026年11月16日まで(ZEH水準住宅のみ2026年8月17日で終了) |
| 交付申請 | 2026年12月31日まで(ZEH水準住宅のみ2026年9月30日まで) |
| 予算 | 長期優良・ZEH水準 1,250億円(国土交通省)/GX志向型 750億円(環境省) |
最大125万円のGX志向型住宅は、断熱等級6が必須。つまり等級6は、もはや「高性能住宅の証」ではなく補助金を受け取るための最低ラインになりました。等級6を取ることは前提であって、差がつくのはそこから先——その土地の冬をどう読んで、どの断熱材をどこに、どう施工するか。このページが最初から最後まで言いたかったのは、その一点です。
もっとマニアな知識
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