石川の家づくり

古い家が夏に暑い原因と、工務店ができる改善方法

「実家に帰るたびに、夏の暑さに驚く」「築30年の我が家、去年よりも今年のほうが確実に暑い」

金沢でこう感じている方が増えています。これは気のせいでも、歳を重ねて暑さに弱くなったからでもありません。家の側にも、時代の側にも、暑さが増した理由があります。今回は、古い家が夏に暑くなる原因を整理し、工務店として何ができるのかを、私たちメープルホームの考え方でお話しします。

まず、金沢の夏そのものが変わった

気象庁の金沢観測所のデータでは、年平均気温は2000年の14.5℃から2024年には16.5℃へ、25年で+1.8℃上昇しました。猛暑日(35℃以上)は3日から22日へと7倍に増え、真夏日は45日から79日へ拡大しています。今の金沢の年平均気温は、現在の東京・大阪(16.5〜16.8℃)とほぼ同じ水準です。

つまり「家は変わっていないのに、暑さだけが増した」というのが、多くのご家庭で起きている現実です。市場調査でも、2000年頃の金沢の住宅は「断熱+耐雪が主題で、夏のエアコン依存度は低かった」と整理されており、今、築30年前後の家に住む方が感じている「以前より暑い」という実感は、データの裏付けがある正しい感覚です。

古い家が夏に暑い、5つの原因

原因① 断熱材が薄い、あるいは入っていない

築30年前後の家の多くは、当時の基準に沿って建てられており、現在の省エネ基準と比べると断熱材の厚みも性能も大きく劣ります。日本の住宅のおよそ9割が現行の省エネ基準を満たしていないとも言われ、金沢の古い家の多くもこれに当てはまります。壁、屋根、床の断熱が薄ければ、夏の外気の熱がそのまま室内へ伝わります。

原因② 窓が「シングルガラス+アルミサッシ」のまま

熱の出入りが最も大きいのは窓です。古い家の多くは単板(シングル)ガラスとアルミサッシの組み合わせで、断熱性能はほとんどありません。夏の熱の多くはこの窓から入ってきます。

原因③ 家全体に隙間がある

古い家は、断熱材だけでなく気密性能も低いことがほとんどです。壁や床、天井の取り合い部分に隙間が多く、冷房で冷やした空気が逃げ、外の熱気が入り続けます。エアコンを強く効かせても、部屋によって涼しさにムラができ、「リビングは涼しいのに、2階や廊下は蒸し暑い」という状態になりやすいのはこのためです。

原因④ 屋根・天井裏の断熱と通気が不十分

夏、屋根の表面温度は60〜70℃に達します。天井裏の断熱が薄い家では、この熱がそのまま2階の部屋に降りてきて、夜になっても2階が暑いままという状態を引き起こします。特に瓦屋根の重厚な古い家では、屋根の熱がじわじわと蓄積し、夜間まで放熱が続くことがあります。

原因⑤ 経年劣化で、当時の性能すら落ちている

断熱材は、施工から数十年経つと、湿気を含んで沈んだり、ネズミなどの被害で欠損したりすることがあります。窓のパッキンやサッシの気密材も劣化し、新築時よりもさらに隙間が増えていることも珍しくありません。「建てたときはそれなりに断熱されていたはず」の家が、今はその性能を失っているケースもあります。

誰にとっての問題か:金沢に多い「古い家」の持ち主

市場調査によれば、対象6市町の人口で最大のボリュームは50代であり、50〜60代の合計人口は30代の2.4倍にのぼります。この世代の多くが、築30年前後の家に住んでいます。市場調査はこれを、「新築一次取得から、建替・リノベ・二世帯化への市場の主役交代」と表現しています。

30〜40代のご夫婦にとっても無関係ではありません。ご両親の家の暑さが気になる、実家を二世帯にして住む、あるいは中古住宅を購入してリノベーションする。土地と建物で4,000万円を超える新築が金沢市の平均的な世帯年収(30代で520万円前後)では現実的に厳しい中、既存の家を活かす選択は年々広がっています。

「工務店ができること」は、実は限られている

ここで、あえて厳しい現実をお伝えします。市場調査は、金沢の住宅事業者の8割が新築を主軸としており、既存住宅の性能向上リフォームに対応できる体制は業界全体で脆弱だと指摘しています。

「壁紙を張り替える」「設備を新しくする」リフォームと、「家全体の断熱・気密性能を上げる」リフォームは、必要な技術がまったく異なります。断熱リフォームには、①今の家の性能を正しく診断する力、②高断熱・高気密の新築を数多く手がけてきた施工技術、③工事後にその効果を数値で確認する体制、この3つが揃っていなければ、効果の薄い工事になりかねません。

メープルホームができる改善方法

私たちは、注文住宅と並行してリフォーム・増改築を長年手がけてきました。古い家の暑さ対策で私たちが行うのは、次のような改善です。

① まず、今の性能を測る

断熱リフォームの出発点は、今の家がどれだけの性能を持っているかを正しく知ることです。専門家が現在のお住まいの断熱性能を測定・診断し、その結果をもとに、どこにどれだけの改修が必要かを具体的にご提案します。「なんとなく寒そう・暑そう」ではなく、数値から改修計画を組み立てます。

② 新築と同じ技術で、家をまるごと包み直す

私たちの断熱リフォームの核となるのが、新築で採用しているLIXILのスーパーウォール工法の技術を既存住宅に応用したスーパーウォール工法リフォームです。硬質ウレタンフォームの断熱パネルで壁を、性能の高いサッシで窓を、家全体を隙間なく包み直すことで、既存の住まいを新築同等の高性能住宅に近づけます。既存の家の構造や状態に応じて、選べる複数の工事方法をご用意しています。

③ 屋根・天井の熱対策も、あわせて見直す

夏の暑さ対策として、壁と窓だけでなく、天井裏の断熱強化や通気の見直しもあわせてご提案します。2階が特に暑いというお悩みは、屋根からの熱が原因であることが多く、ここを見直すことで夜の寝苦しさが大きく改善します。

④ リフォームでも、全棟気密測定

新築でも大切にしている全棟気密測定を、リフォームでも実施します。改修後の家の隙間を実際に測定し、性能報告書としてお渡しします。「暖かくなった気がする」「涼しくなった気がする」で終わらせず、数値で効果を確認できることが、私たちのリフォームの特徴です。

⑤ 壁の中の結露も防ぐ

多湿な金沢では、断熱リフォームで気をつけなければならないのが壁内結露です。スーパーウォール工法リフォームで使用する断熱パネルの断熱材には35年の無結露保証が付帯しており、断熱性能を長期にわたって維持できます。

改善後、夏の暮らしはどう変わるか

断熱リフォームを行った家では、エアコン1台で家全体を涼しく保ちやすくなります。実際に私たちのスーパーウォール工法の家にお住まいのご家族からは、「エアコンのあるLDKと、ない部屋の温度差が1℃ほど」という声をいただいています。

具体的には、こうした変化が期待できます。

  • 帰宅時の「ムッとする暑さ」が和らぐ。留守中の室温上昇がゆるやかになるためです
  • 2階の部屋が、夜まで暑いままにならない
  • エアコンの設定温度を下げなくても涼しく、稼働時間も短くなり、電気代が下がる
  • 同じ改修で冬の底冷えも改善され、光熱費とヒートショックのリスクが両方下がる

金沢市の30〜40代の世帯年収は520〜640万円程度とされ、市場調査でも総予算の壁が指摘されています。建替に比べて費用を抑えながら、夏も冬も快適な家を実現できることは、この世代の家計にとって大きな意味を持ちます。

「建て替える」か「性能を上げる」か、一緒に考える

古い家の暑さに直面したとき、選択肢は建替か断熱リフォームかの2つです。構造がしっかりしていて間取りがご家族の暮らしに合っているなら、断熱リフォームは費用を抑えながら性能を新築同等に引き上げる現実的な方法です。一方、構造や地盤に不安がある場合は建替のほうが安心なこともあります。

メープルホームは新築とリフォームの両方を手がけているからこそ、どちらか一方に偏らず、その家とご家族に本当に合う選択を一緒に考えることができます。

この土地の「古い家」を知っているから、できること

金沢の古い家は、この土地の雪と寒さに向き合って建てられてきました。その家々が今、想定していなかった猛暑に直面しています。暑さの原因は一つではなく、断熱・窓・気密・屋根・経年劣化が重なり合って起きています。

だからこそ改善には、家全体を診断し、新築と同じ技術で性能を引き上げられる工務店の力が必要です。「実家の夏が心配」「我が家、去年より暑くなった気がする」と感じている方は、まずは今の家の性能を測ることから始めてみませんか。


出典:気象庁「金沢」観測所データ、国勢調査、住民基本台帳、金沢市統計書、LIFULL HOME’S住まいインデックスほか(Amigo建築コンサルティング「金沢市域住宅市場調査」2026.06より)

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