石川の家づくり

断熱材を「入れた」だけの家と、「測った」家の違い。金沢の湿気と暑さから家族を守る「気密」の話

前回は、金沢の気候が25年で大きく変わったこと、そして「断熱」が冬だけでなく夏の暑さからも家族を守るための性能であることをお話ししました。

今回のテーマは、その断熱と切り離せない相棒、「気密」です。

正直に言うと、気密は住宅の性能の中でいちばん地味で、いちばん分かりにくい話です。住宅会社の資料でも「断熱等級」「UA値」はよく見かけますが、「気密」の数値まで載せている会社は多くありません。

けれど私たちメープルホームは、金沢という土地で家を建てるなら、気密こそ手を抜いてはいけない性能だと考えています。その理由を、地域のデータと一緒にお伝えします。

気密とは何か。断熱との関係

気密とは、家の「隙間の少なさ」のことです。

イメージしていただきたいのは、真冬に着るダウンジャケット。中の羽毛(=断熱材)がどれだけ高級でも、ファスナーを開けたまま、袖口や首元が空いたままでは寒いですよね。風が入り込み、体温が逃げてしまう。

家もまったく同じです。壁の中にどれだけ性能の高い断熱材を入れても、壁と床の取り合い、窓まわり、配線や配管の貫通部に隙間があれば、そこから空気が出入りして断熱の効果は大きく損なわれます。

気密性能はC値という数値で表します。家全体の隙間を合計して床面積で割ったもので、単位は㎠/㎡。数字が小さいほど隙間が少なく、C値1.0以下が高気密の目安、0.5以下なら非常に高い水準とされています。

つまり気密は、「断熱材を活かすための前提条件」。断熱が主役なら、気密は主役を支える舞台そのものです。

金沢の気候が、気密を「必須」にしている3つの理由

理由① 湿気の街・金沢で、隙間は結露の入り口になる

金沢が「弁当忘れても傘忘れるな」と言われるほど雨の多い街であることは、地元の方ならご存じの通りです。この多湿な気候は、気密の弱い家にとって最大の敵です。

隙間から壁の中に湿った空気が入り込み、温度差のある場所で結露する。これが「壁内結露」で、目に見えないまま断熱材を湿らせ、木材を腐らせ、カビの原因になります。断熱材が濡れれば性能は落ち、せっかくの高断熱が数年で台無しになることもあります。

金沢で家を長持ちさせるには、壁の中に湿気を入れないこと。つまり気密です。

理由② 夏が東京並みになり、「夏型結露」という新しい問題が出てきた

市場調査のデータを見ると、金沢の年平均気温は2000年の14.5℃から2024年には16.5℃へ。真夏日は45日から79日、猛暑日は3日から22日に増えました。

かつての金沢では、結露は「冬の問題」でした。ところが夏が暑く長くなったことで、冷房で冷えた室内側の壁に、外の高温多湿な空気が触れて結露する「夏型結露」が北陸でも現実の問題になってきています。

冬型と夏型、両方向の結露から家を守る。そのためには、そもそも湿った空気を壁の中に入れない気密性能が欠かせません。「北陸=寒冷地」を前提にした昔ながらの仕様では、もう追いつかないのです。

理由③ 冷暖房費を「払い続ける」共働き世代にとって、隙間は毎月の出費

30〜40代・共働き・お子さん2人。金沢市の同世代の世帯年収は520〜640万円ほどで、住宅の総予算には現実的な上限があります。

だからこそ知っておいていただきたいのは、気密の弱い家は「冷暖房した空気を毎日捨てている家」だということです。C値が悪い家では、暖めた空気・冷やした空気が隙間から逃げ、その分だけエアコンが余計に働きます。

猛暑日が7倍になった金沢では、冷房を使う期間そのものが長くなっています。隙間の多い家は、その延びた期間分、毎年余計な電気代を払い続けることになる。35年のローンと同じ長さで払い続ける光熱費を考えれば、気密は「贅沢」ではなく「節約」です。

メープルホームの気密:全棟気密測定という約束

ここからは、私たちの取り組みについてお話しします。

工法そのものが気密に強い:スーパーウォール工法

メープルホームが標準採用しているLIXILのスーパーウォール(SW)工法は、硬質ウレタンフォームの断熱材と構造用パネルを工場で一体化したパネルを使います。

現場で断熱材を一枚ずつ詰めていく工法では、どうしても職人の技量や天候によって隙間の出方にムラが生じます。工場生産されたパネルで壁を構成するSW工法は、その施工精度のブレを最小限に抑えられる。「気密がとれる工法」を選ぶこと自体が、性能へのこだわりの第一歩です。

すべての家で測る:全棟気密測定

そして私たちが何より大切にしているのが、全棟気密測定です。

気密は、設計図の上では分かりません。実際に建てた家に測定器を取り付け、空気を引いて隙間の量を測らないと、その家のC値は出てこないのです。

私たちは一棟一棟、必ず測定を行い、その結果を性能報告書としてお客様にお渡ししています。「高気密です」と言葉で言うのは簡単ですが、「この家のC値はこれです」と数値で示せる会社は限られます。測ることは、私たち自身の施工品質を毎回チェックすることでもあります。

施工品質を支える仕組み:第三者監査と長期保証

気密は施工の丁寧さで決まります。メープルホームでは、自社の職人による丁寧な施工に加え、第三者機関による監査を取り入れ、施工品質を客観的に確認しています。

また、SW工法の断熱材(硬質ウレタンフォーム)には35年の無結露保証が付帯します。「壁の中の結露を防ぐ」という気密の目的を、保証という形でお約束できるのは、工法と施工の両方に自信があるからです。

実際に暮らしている方の声

高気密・高断熱のSW工法で建てられたご家族からは、こんな声をいただいています。

「エアコンのあるLDKと、エアコンのない脱衣所の温度差が1℃ほど。お風呂上がりに子どもを着替えさせるときも、寒い思いをさせなくなりました」

「家の中で自然と薄着になって、外に出てはじめて寒さに気づくくらいです」

家じゅうの温度差が小さいというのは、まさに気密性能の効果です。隙間がなければ、暖めた空気・冷やした空気が家全体に行き渡り、どの部屋にいても同じように快適になる。共働きで朝の時間に余裕のないご家庭ほど、この「どこにいても寒くない・暑くない」の価値を実感されています。

災害時にも効く「隙間のない家」

市場調査によると、金沢周辺では2000年以降、地震・豪雨・豪雪など10件の重大災害が記録されています。2024年の能登半島地震では金沢市内でも震度5強を観測しました。

災害で停電したとき、頼れるのは家そのものの性能です。気密・断熱性能の高い家は、冷暖房が止まっても室温の変化がゆるやかで、真夏や真冬の停電時に家族を守る時間を稼いでくれます。

さらに気密性の高い家は、計画的な換気が正しく機能します。隙間だらけの家では、換気システムが空気を引いても隙間から入ってくる空気に邪魔されて、狙ったとおりに空気が流れません。気密があってはじめて、湿気や花粉、PM2.5を含む外気を、フィルターを通した経路からだけ取り込むことができるのです。多湿な金沢で、健康的な室内環境を保つためにも気密は効いています。

金沢を知っているから、測る

雨が多く、湿気が高く、冬は冷え、そして夏はもう東京と同じくらい暑い。この金沢で35年、40年と住み続ける家に必要なのは、見た目の派手さよりも、目に見えない壁の中を守る性能です。

気密は地味です。完成した家を見ても、C値の良し悪しは分かりません。でも、10年後、20年後の壁の中の状態、毎月の光熱費、そして家族の健康に、確実に差をつける性能です。

メープルホームは、金沢の工務店として、この土地の気候を知っているからこそ、すべての家で気密を測ります。数値でお見せできる家づくりに、ぜひ一度触れてみてください。


出典:気象庁「金沢」観測所データ、国勢調査、石川県令和6年能登半島地震被害状況、LIFULL HOME’S住まいインデックス、厚労省国民生活基礎調査ほか(Amigo建築コンサルティング「金沢市域住宅市場調査」2026.06より)

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