石川の家づくり

金沢市で増える熱中症リスクと、室内温度を下げる住まいの工夫

熱中症というと、炎天下のグラウンドや工事現場を思い浮かべる方が多いかもしれません。けれど近年、救急搬送の統計で増え続けているのは、実は住宅内での熱中症です。エアコンをつけていない、あるいはつけていても効きにくい室内で、気づかないうちに体温が上がっていく。特にお子さんと高齢のご家族がいるご家庭にとって、これは「外出時だけ気をつければいい」問題ではなくなっています。

今回は、金沢の暑さの変化を公的データから確認したうえで、室内の熱中症リスクをどう下げるか、私たちメープルホームの家づくりの考え方をお話しします。

金沢は、もう「涼しい街」ではない

気象庁の金沢観測所のデータでは、年平均気温は2000年の14.5℃から2024年には16.5℃へ、25年で+1.8℃上昇しました。2023年には観測史上最高の16.6℃を記録しています。

この16.5℃という数字は、現在の東京・大阪(16.5〜16.8℃)とほぼ同じ温暖度です。平年(1981〜2010年)の東京の年平均気温15.4℃を、今の金沢は超えています。

暑さの中身を見ると、さらにはっきりします。

  • 真夏日(30℃以上):2000年 45日 → 2024年 79日
  • 猛暑日(35℃以上):2000年 3日 → 2024年 22日

猛暑日は7倍以上に増えました。「金沢は北陸だから夏は過ごしやすい」という感覚は、今の金沢の実態とは違ってきています。

なぜ「室内」の熱中症が増えているのか

理由① 家の中は、外より危険なことがある

熱中症というと屋外のイメージが強いですが、環境省・消防庁の統計では、熱中症による救急搬送のうち発生場所として最も多いのは、屋外ではなく「住居」です。特に高齢者の熱中症は、住居内での発生が半数を超える年もあります。

理由は単純です。屋外にいる人は「暑い」と感じてすぐ対処しますが、室内にいると暑さへの警戒心が薄れ、エアコンを我慢してしまう、あるいはつけていても効いていないことに気づきにくいのです。

理由② 猛暑日が増え、夜の気温も下がりにくくなった

猛暑日が7倍になったということは、日中の熱が家に蓄積される機会が増えたということです。断熱性能の低い家では、日中に壁や屋根、窓から入った熱が夜まで残り、寝苦しさが続きます。市場調査でも、金沢のまちなかで観光客増加や建物の集積によるヒートアイランドの影響が指摘されており、夜になっても気温が下がりにくい傾向は都市部ほど強くなります。

理由③ 「涼しかった頃」の家に、暑さへの備えがない

市場調査は、2000年頃の金沢の住宅について「断熱+耐雪が主題で、夏のエアコン依存度は低かった」と整理しています。つまり、金沢に多く残る築30年前後の家は、そもそも今のような猛暑を想定して設計されていません。断熱の弱い家では、エアコンをつけても熱が入り続け、室温が下がりきらないまま、電気代だけがかさむ。結果として「エアコンを我慢する」という、最も危険な選択につながりやすくなります。

理由④ 共働き家庭では、留守中の室温上昇に気づきにくい

30〜40代・共働き・お子さん2人。日中、家に誰もいない時間が長いご家庭では、朝出かけるときは涼しかった室内が、夕方帰宅する頃には猛烈な温度になっていることがあります。特に、お子さんが学校や保育園から先に帰宅する場合、締め切った暑い部屋で過ごす時間ができてしまうリスクもあります。

誰が、特にリスクが高いのか

熱中症のリスクは、年齢によって現れ方が違います。

お子さんは体温調節機能が未発達で、体重に対する体表面積が大きいため、大人より早く体温が上がります。自分で「暑い」「体調が悪い」とうまく伝えられないことも、リスクを見えにくくします。

高齢のご家族は、暑さやのどの渇きを感じにくくなる傾向があり、エアコンを我慢しがちです。市場調査によれば、対象エリアの50〜60代人口は30代の2.4倍にのぼり、二世帯住宅や、近くに住むご両親のいるご家庭は決して少なくありません。「実家の日中の室温」は、意外と見落とされがちなリスクです。

つまり熱中症対策は、赤ちゃんから祖父母まで、家族の年齢層が広いご家庭ほど重要になる、住まい全体の設計課題なのです。

室内温度を下げる、住まいの工夫

エアコンだけに頼らない:断熱で「入る熱」を減らす

室内の熱中症対策としてまず思い浮かぶのはエアコンですが、断熱性能の低い家では、いくらエアコンを強く効かせても、外からの熱が入り続けるため室温は下がりきりません。断熱は、熱中症対策の土台です。

夏、屋根の表面温度は60〜70℃に達し、外壁や窓からも熱は絶えず入り込みます。断熱性能が高い家では、そもそも室内に入る熱が少ないため、エアコンの負荷が減り、少ない電力で確実に室温を下げられます。

窓の日射を、外で止める

夏の熱の約7割は窓から入ります。カーテンで室内側から遮っても、熱はすでにガラスを通過したあとです。庇や外付けブラインドなど、窓の外で日射を止める工夫が、室温上昇を防ぐうえで最も効果的です。

気密で、冷やした空気を逃がさない

隙間の多い家では、せっかく冷やした空気が逃げ、外の熱い空気が入り続けます。気密性能が低いと、エアコンをつけていても部屋によって温度差が大きくなり、「リビングは涼しいのに、子ども部屋や祖父母の部屋が暑い」という状態を生みます。家全体を均一に涼しく保つには、気密性能が欠かせません。

通風で、夜の熱を逃がす

日中は熱を入れず、夜は涼しい外気を取り込む。窓の配置と開け方を工夫することで、冷房に頼りきらずに室温を下げられる時間帯をつくれます。

メープルホームの家:熱中症に強い室内環境を、設計でつくる

私たちが標準採用しているLIXILのスーパーウォール(SW)工法は、硬質ウレタンフォームの断熱材による高い断熱性能と、全棟気密測定で確認する高い気密性能を組み合わせています。基準としているのはHEAT20 G2グレード(UA値0.46以下)。国の省エネ基準を大きく上回る性能で、外からの熱を室内に入れにくくします。

実際にお住まいのご家族からは、「エアコンのあるLDKと、ない部屋の温度差が1℃ほど」という声をいただいています。これは、リビングだけでなく、子ども部屋も、ご両親の部屋も、廊下も、家全体が同じように涼しく保たれるということです。日中留守にしていても、隙間から侵入する熱が少ないため、帰宅時の「サウナのような室温」になりにくいのも、この性能の効果です。

私たちが大切にしているパッシブ設計では、金沢の太陽高度(夏至の正午で約77°、冬至で約30°)に基づき、南面の窓に900mm前後の庇を設けます。夏は窓の上半分を日陰にしながら、冬は太陽の熱を取り込む。庇や窓の配置は、デザインの要素であると同時に、室内の熱中症リスクを下げる実質的な対策です。

また、夜間に涼しい外気を取り込める窓計画も、間取りの段階から組み込んでいます。冷房だけに頼らず、通風で室温を調整できる時間帯をつくることは、電気代を抑えながら快適さを保つことにもつながります。

さらに、私たちが提案するパッシブZEHでは、太陽光発電を組み合わせることで、冷房の使用が増える夏場の電気代の負担を軽減します。猛暑の日ほど太陽光の発電量も増えるため、暑さへの備えと家計の安心を同時に得られます。

実家の暑さも、一緒に考える

市場調査は、金沢の住宅市場で「50〜60代の建替・二世帯化」が主軸になりつつあることを示しています。私たちの会社でも、断熱性能の高さが評価され、二世帯住宅の施工が増えています。「冬でも快適な住まいは、高齢な両親も安心して暮らせる」というお声をいただくことも多いのですが、この安心は夏にも同じように当てはまります。

ご両親が今住んでいる家の夏の室温が気になる方には、新築での二世帯化だけでなく、スーパーウォール工法リフォームによる断熱改修もご提案できます。専門家による断熱性能の診断から、既存住宅を一棟まるごと高性能化する改修まで、新築と同じ技術で対応しています。

「暑さを我慢しない家」を、家族みんなのために

猛暑日が7倍になった金沢で、熱中症は屋外だけの心配ではなくなりました。お子さんの体、ご両親の体、そして共働きで留守がちな日中の家。家族それぞれの事情に、住まいの性能で応えることができます。

「エアコンをつけているのに、なんだか暑い」と感じたことがある方は、その原因は家の断熱と気密にあるかもしれません。金沢の気候の変化を知り、性能を数値で語れる工務店として、私たちは家族みんなが安心して過ごせる室内環境をご提案します。


出典:気象庁「金沢」観測所データ、環境省・消防庁 熱中症関連統計、国勢調査、住民基本台帳ほか(Amigo建築コンサルティング「金沢市域住宅市場調査」2026.06より)/窓からの熱の流入割合は一般財団法人日本建材・住宅設備産業協会の公表値を参考

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