マニアな知識 / 屋根
勾配は意匠ではなく、日射角度・降雨強度・積雪荷重・風圧力の答えとして決まります。数値と法令の根拠から、屋根の形と屋根材の選び方をたどる読み物です。
屋根勾配は「寸」「度」「%」の三通りで語られます。%は寸を10倍するだけですが、角度は比例しません。4寸は40%ですが、角度は21.8°であって36°ではない——ここが最初のつまずきです。
ここで大事なのは、メーカーが示す数値には「標準(推奨)勾配」と「条件付きの限界値」の二段があることです。限界値だけを見て「アスファルトシングルは1.5寸で葺ける」と考えるのは危険で、それは専用の下葺材と接着工法に切り替えた場合の1社の仕様です。標準施工の下限は3寸です。
| 屋根材(代表商品) | 標準(推奨) | 条件付き下限 | 条件・制限 |
|---|---|---|---|
| 金属 折板 | 0.3寸 | — | メーカー各社の資料で共通して示される工法別の最低勾配(3/100) |
| 金属 立平(縦葺き・嵌合) | 2.5寸 | 0.5寸 | 0.5寸は工法別の下限値であって推奨値ではない。緩勾配では下葺材上の滞留水が排水できず、釘・ステープルの貫通孔から漏水する。現場側は2.5寸以上を推奨 |
| 金属 一文字葺き | 3.0寸 | — | 工法別の最低勾配(30/100)。横葺きは資料により20〜25/100と幅がある |
| 金属 横葺き スーパーガルテクト | 3.5寸 | 2.5寸 | 2.5〜3.5寸未満は粘着層付き改質アスファルトルーフィング必須+横ジョイント部すべてにジョイント下地+流れ長さ7m以下。積雪量の多い地域、沖縄県及び離島(一部離島を除く)は施工不可 |
| 金属 横葺き 横暖ルーフ | 3.5寸 | 2.5寸 | 標準は流れ長さ13m以下。2.5〜3.5寸未満は防水強化仕様(片面粘着層付き改質アスファルトルーフィング)。垂直積雪量120cm超は段数検討 |
| 石粒付き金属 ディプロマットスター | 2.5寸 | — | メーカー公表の施工可能範囲が2.5寸勾配以上 |
| 化粧スレート コロニアルグラッサ | 3.0寸 | 2.5寸 | 2.5/10は流れ長さ5m以下の小面積限定。積雪施工地域(年平均最深積雪30〜100cm)は3/10が施工不適で3.5/10以上。100cm超は施工不可地域 |
| ROOGA[鉄平] | 2.5寸 | — | 2.5〜10寸(寄棟は2.5〜8寸) |
| 平板瓦 スーパートライ110 タイプⅠPlus | 3.0寸 | 2.0寸 | 3寸未満は改質アスファルト又は粘着層付ルーフィング必須(快適ロール・透湿ルーフィングは使用不可)。軒先1,000mmはルーフィング2重張り、緩勾配は角材の瓦座を推奨 |
| 平板瓦 イーグルエクサマックス | 3.0寸 | 2.0寸 | 3寸以下は軒先の逆勾配防止、瓦座高さ40mm以下推奨、半瓦やシーラーの追加施工 |
| 平板瓦 スーパートライ110 タイプⅠ | 4.0寸 | — | 4.0寸未満は施工不可(タイプⅠPlusの使用を検討) |
| 防災J形瓦エース | 4.0寸 | 2.5寸 | メーカーは2.5/10から標準屋根勾配として示すが、2.5/10の許容流れ長さは3.8mまでで実用範囲は狭い。4.0/10で10m、5.0/10で15m、6.0/10で21m |
| シングル ロアーニⅡ | 3.0寸 | 1.5寸 | 1.5〜3寸未満は下葺材をアスヤンSB200(自着層付)に変更し、接着工法に切り替えた場合のみ。積雪地は3/10〜 |
| シングル リッジウェイ | 3.0寸 | 2.0寸 | 2.0寸は片面粘着層つきルーフィング材の使用時。低勾配と積雪地域は同ルーフィングが必須 |
| シングル アルマ | 3.5寸 | 2.5寸 | 一般地域は3.5〜27.5寸が標準。2.5〜3.5寸未満は専用施工仕様(片面粘着層付ルーフィング+流れ長さ10m以下+シングルセメント併用)。多雪地域(垂直積雪量およそ80cm超)でも3.5寸以上が必要で、勾配により施工不可の範囲がある。基準風速38m/s以上の強風地域は1枚6本留めの専用施工 |
| シングル オークリッジスーパー | 3.5寸 | 2.0寸 | 2〜3.5寸未満は低勾配仕様。米国IRCは2:12が絶対下限で2:12〜4:12は下葺材2層必須、NRCAは4:12(約4寸)以上を推奨 |
棟・けらば・谷・壁際といった取合いが多い形ほど雨漏りします。逆に言えば、形の選択はデザインの問題ではなく、雨の入り口をいくつ作るかという問題です。
| 屋根形状 | 平成29年度 | 令和5年度 | 動き |
|---|---|---|---|
| 片流れ | 30.5% | 41.5% | 最多に逆転 |
| 切妻 | 40.7% | 31.5% | 首位から後退 |
| 寄棟 | 13.2% | 13.2% | 横ばい |
| 段違い(招き含む) | 9.8% | 10.6% | 微増 |
| 無落雪屋根 | — | 1.3% | — |
| 陸屋根 | 1.0% | 1.0% | 横ばい |
| 入母屋 | 0.2% | ほぼ消滅 | 平成7年度は約5% |
三州瓦の神清は、新築の瑕疵担保責任保険の雨漏り事故のうち75%以上が片流れ屋根で、その浸入部位は棟部50%・けらば部27%・軒先部23%だと指摘しています。
理由は形状にあります。片流れの頂部では野地板の先端が室内側へ下がる逆勾配になり、野地板と破風板の境から入った水が野地板の裏面を伝って室内へ流れます。しかもそこは建物で最も高く、風圧が最大の位置です。
けらばの延長も切妻の2倍。同じ建築面積ならリスクは単純計算で2倍以上になります。
この75%は同社が保険データとして紹介している数値で、一次出典(保険法人名・統計年)は公表されていません。2面・棟1本・谷なし。取合いが最も少なく、南面を大きく取れる。
雨◎ コスト○ 太陽光◎4面。大棟1+隅棟4。全周の壁面を守るが小屋裏が小さく、材料ロスが大きい。
雨○ コスト△ 耐風◎1面のみ。最安・最短工期で太陽光を最も効率よく載せられるが、頂部(橙)とけらばが弱点。
雨△ コスト◎ 太陽光◎正方形平面の四角錐。大棟がなく雨に強いが、小屋裏に湿気が滞留しやすい。
雨◎ 太陽光×上部が切妻+下部が寄棟。矢切から湿気を逃がせるが部材が多く最も高コスト。
コスト× 耐風◎段違いの2面。段差部(橙)に窓が取れるが、そこが弱点にもなる。1階屋根は点検しやすい。
雨△ コスト○勾配で流さず防水層で守る。1/100〜1/50の水勾配とドレン(青)。10〜15年ごとの更新費が続く。
防水必須中央が低いV字。無落雪屋根の一種で、中央の内樋(橙)に排水が集中する。詰まりが致命的。
雨× 積雪対応片流れの連続。垂直面(橙)にハイサイドライトが取れるが、足元に谷が連続する。
雨× 採光◎大屋根の上に小さな切妻。側面の開口(橙)で排煙・換気・採光を同時に解く伝統形式。
通風◎ コスト×途中で勾配が変わる2段勾配。小屋裏を広く取れるが、折れ点(橙)の処理が要になる。
小屋裏◎L字・T字プランで複数形状を組み合わせたもの。内側の角から必ず谷(橙)ができ、最もリスクが高い。伏図で見ると分かります。
雨× コスト×南中高度は緯度で決まります。夏至の南中高度は札幌70.4°に対して那覇87.2°で、同じ日本でも17°近く違います。だから同じ庇の出、同じ屋根勾配の設計図が全国で通用しません。窓高さ2mを夏至に遮る庇は、札幌712mm・東京432mm・那覇98mm——札幌と那覇で7倍以上の差です。
落とし穴は8月下旬から9月上旬です。この時期の太陽高度は60°台まで落ちるので、夏至基準の庇では遮蔽不足になります。東京・窓高さ2.4mなら夏至78°で51cmですが、8月末の63°では122cmが必要です。実務の目安は「窓高さの30〜50%の出幅」。
一方で、同じ地点なら夏至と冬至の差は46.9°(=23.44°×2)で一定です。緯度が変わると南中高度が上下に平行移動するだけ。だから「自分の敷地の緯度」を一度押さえれば、夏と冬の両方が同時に決まります。
札幌と那覇の差は、夏至で16.8°、冬至で16.8°。必要な庇の出は712mmと98mmで7.3倍です。屋根の軒の出も太陽光パネルの傾斜角も、この差の上に決まります。
| 都市 | 緯度 | 夏至 | 春秋分 | 冬至 | 窓2mを夏至に遮る庇 |
|---|---|---|---|---|---|
| 札幌 | 43.06°N | 70.4° | 46.9° | 23.5° | 712mm |
| 仙台 | 38.27°N | 75.2° | 51.7° | 28.3° | 528mm |
| 東京 | 35.69°N | 77.8° | 54.3° | 30.9° | 432mm |
| 名古屋 | 35.18°N | 78.3° | 54.8° | 31.4° | 414mm |
| 大阪 | 34.69°N | 78.7° | 55.3° | 31.9° | 400mm |
| 福岡 | 33.59°N | 79.8° | 56.4° | 33.0° | 360mm |
| 那覇 | 26.21°N | 87.2° | 63.8° | 40.3° | 98mm |
| 方位 | 発電量比(南=100) | 地点 | 最適傾斜角 | 近い屋根勾配 |
|---|---|---|---|---|
| 南 | 100% | 札幌 | 34.8° | 7寸 |
| 南東・南西 | 96% | 八王子 | 33.0° | 6.5寸 |
| 東・西 | 83% | 名古屋 | 32.5° | 6.4寸 |
| 北 | 62% | 大阪 | 29.2° | 5.6寸 |
| — | — | 那覇 | 17.6° | 3.2寸 |
地点ごとに傾斜角を最適化しても、年間日射量の上積みは最大でも約2%。神経質になるべきは傾斜角ではなく方位です。片流れの本当の利点は、切妻が北面(62%)を抱えるのに対し、屋根全面を100%係数で使えることにあります。
国総研の散水試験では、4寸勾配のJ形瓦でも風速20m/sで220mL、25m/sで300mL、風速30m/sでは950mL(1㎡・1分あたり、軒先流量5L/m・min)の水が屋根材の下に入りました。屋根材は水を流す部材で、止める部材は下葺材です。
| 1時間降水量 | 1976-85年平均 | 2015-24年平均 | 倍率 | 4℃上昇時の予測 |
|---|---|---|---|---|
| 50mm以上 | 約226回 | 約334回 | 約1.5倍 | 約3.0倍 |
| 80mm以上 | 約14回 | 約24回 | 約1.7倍 | 約3.0倍 |
日本住宅保証検査機構(JIO)が2010年7月から2016年6月の保険事故を分析した結果、雨漏りの71.8%が軒の出のない箇所で起き、軒ゼロ住宅の雨漏り発生確率は軒のある住宅の約5倍でした。「軒ゼロ」の定義は柱心から軒先まで250mm以下、けらば・棟で150mm以下。
住宅瑕疵保険の事故情報データベース(2009〜2023年、木造戸建約15,000件)では、浸入箇所は外壁開口部29.6%、外壁面26.2%、勾配屋根・天窓20.2%。新築木造戸建の保険事故は9割以上が雨漏りです。
出典:JIOデータ(日経BP『雨漏りトラブル完全解決』所収)、住まいるダイヤル、国総研。重なり部の微細なすき間に、重力に逆らって水が吸い上げられる。砂埃が堆積すると媒体になり吸上げ量が増す。対策は縁切り/タスペーサー(100㎡で約1,000個)。
流下速度が落ちて水が留まり、屋根側から浸入する。同じ勾配でも流れ長さが長いほど水膜が厚くなる。
強風時に雨が斜めや上向きに走り、重なり部の水を軒先から棟方向へ押し戻す。重ね代だけでは吸収しきれない。
2面分の雨水が線状に集中し、単位長さあたりの水量が跳ね上がる。谷樋と壁際は勾配と別の設計問題。
| 勾配 | 基準A | 基準B | 基準C | 個別対応 |
|---|---|---|---|---|
| 2.5/10以上 | — | 5m | 12m | 15m |
| 3/10以上 | 7m | 10m | 17m | 21m |
| 3.5/10以上 | 10m | 15m | 25m | 30m |
| 4/10以上 | 13m | 19m | 32m | 39m |
| 4.5/10以上 | 16m | 24m | 40m | — |
| 5/10以上 | 20m | 30m | — | — |
| 6/10以上 | — | — | — | — |
国土交通省・住宅瑕疵担保責任保険の設計施工基準 第7条で、品質はJIS A 6005適合のアスファルトルーフィング940以上、重ねは流れ方向100mm以上・左右200mm以上、谷部と棟部は両方向に250mm以上、壁との取合いは壁面に沿って250mm以上かつ雨押え上端より50mm以上立ち上げ、と定められています。
出典:国土交通省・設計施工基準。多雪区域で垂直積雪量150cm・4寸勾配なら、積雪荷重は約4.1kN/㎡。瓦屋根の自重0.6〜0.9kN/㎡に対して4〜7倍が上に載ります。雪国の構造設計が別物になる理由です。
| 条件 | 単位荷重 | 垂直積雪量 | μb | 積雪荷重 |
|---|---|---|---|---|
| 一般区域・陸屋根 | 20 N | 30cm | 1.000 | 600 N/㎡ |
| 一般区域・5寸 | 20 N | 30cm | 0.876 | 526 N/㎡ |
| 多雪区域・4寸 | 30 N | 150cm | 0.917 | 4,127 N/㎡ |
| 市(北海道) | 垂直積雪量 | 備考 |
|---|---|---|
| 小樽市 | 150cm | — |
| 札幌市 | 140cm | 南区の一部は190cm |
| 江別市 | 140cm | — |
| 旭川市 | 130cm | 江丹別の一部は230cm |
| 帯広市 | 130cm | — |
| 北見市 | 100cm | — |
| 函館・室蘭・釧路・苫小牧 | 70cm | — |
式の (sin θ − μ cos θ) が正になるのが滑り出す条件、つまり tan θ > μ です。鉄板の動摩擦係数 μ=0.1 なら約5.7°(1寸)を超えれば理論上は滑り出します。逆に「滑らせない」には雪止めか無落雪形状しかない。3寸でも4個/㎡超の雪止めが必要になるのがその証拠です。
すが漏れは、室内熱で屋根上の雪が下から解け、冷たい軒先で再凍結して氷の堤を作り、堰き止められた水が重なり部を逆流する現象。対策は断熱強化と小屋裏換気の両方で、屋根材の選択では解けません。
屋根被害の主犯は負圧(吹き上げ)です。しかも同じ屋根の中で、隅角部は一般部の約1.7倍を受けます。これが「四隅と軒先を留める」理由です。
| 粗度 | Er | V₀=30 | V₀=38 | V₀=46 |
|---|---|---|---|---|
| I(H=8m) | 1.196 | 772 | 1,239 | 1,815 |
| II | 0.960 | 498 | 799 | 1,171 |
| III・IV | 0.800 | 346 | 554 | 813 |
粗度III・V₀=38m/s・H=8m なら q=554 N/㎡。隅角部(θ≦10°)の Cf は約 −13.3 になり、W ≈ −7,400 N/㎡(約−740kgf/㎡)。一般部は約 −4,300 N/㎡です。内圧係数の扱いで数値は変わるので一例として。
ここで勾配の話に戻ります。負圧は20°(約3.7寸)付近で最大の−5.4になります。「緩勾配は風に強い」と単純に書くと、告示の値と矛盾します。
| — | 従来 | 改正後(令和4年1月1日以降) |
|---|---|---|
| 緊結範囲 | 軒・けらば(端部から2枚まで)のみ | 軒・けらば・むね・平部のすべての瓦 |
| 軒・けらば | — | 3本以上のくぎ等で下地に緊結 |
| むね | — | 冠瓦をねじで芯材に緊結 |
| V₀ 38〜46m/s | — | F形は使用不可。J形・S形の防災瓦は1本 |
| 屋根材(かっこ内は棟数) | 被害率 |
|---|---|
| 粘土瓦 J形(築30年程度 25棟) | 96% |
| 粘土瓦 F形(全数釘留め 6棟) | 0% |
| 化粧スレート(2〜2棟) | 0〜50% |
| 金属屋根(1〜1棟) | 100% |
| 築年数 | 被害率 |
|---|---|
| 築10年未満 | 0%(0/7棟) |
| 築20年程度 | 33〜50% |
| 築30年程度 | 96〜100% |
| 築40年以上 | 100%(材種を問わず) |
全数釘留めのF形瓦6棟は被害ゼロでした。一方、屋根下地ごと飛散した10棟は化粧スレート5棟と金属屋根5棟で、瓦屋根はゼロ。屋根材の種類を選ぶ前に、留め方と経年のほうが効いているという話です。全日本瓦工事業連盟・全国陶器瓦工業組合連合会の合同調査(視察2019年9月19日、南房総市富浦付近56棟、うち2階建て49棟を分析)。屋根材別の被害率は母数が1〜2棟の区分があるため、傾向としてお読みください。
形状と耐風性についても整理しておきます。建築研究資料No.142によれば、寄棟屋根の外圧係数の性状は切妻と異なるものの多くの部分で似た性状を示すため、告示では切妻の数値を準用しています。つまり「寄棟が構造的に圧倒的に強い」という法令上の単純な差はありません。片流れが不利なのは、風上側の1辺がそのまま長い軒先とけらばになり、負圧が最大化する周辺部・隅角部の割合が大きくなるからです。
そして軒の出は、雨仕舞いには圧倒的に有利(軒ゼロは雨漏り約5倍)ですが、耐風では不利(軒裏負圧−2.1)。結論は 軒を出す+緊結を強化する の両方です。
出典:全瓦連 台風15号 視察報告、建築研究資料No.142、告示1458号、国総研 屋根ふき材の耐風診断マニュアル(案)。都道府県を選ぶと、県庁所在地の緯度から南中高度と庇の出、設計用降雨強度から必要な雨樋の径、そして注意すべき自然条件を表示します。
カテゴリではなく商品名で比べます。列見出しをクリックすると並び替わります。価格はメーカー希望小売価格(材料のみ)ではなく工事単価(材工共・税抜)の相場で、足場と撤去処分は別です。
| 代表商品 | メーカー | 工事単価 円/㎡ | 重量 kg/㎡ | 耐用年数 | 標準勾配 寸 | 条件付き 寸 | メンテ周期 |
|---|
瓦41〜44kg/㎡に対し金属は約5kg/㎡で、およそ10倍の差。耐震等級を上げたい、狭小3階建て、カバー工法で重量を増やせない——これらは重量が最初に効く。
緩勾配のモダンな箱型なら立平(0.5寸)かシングル(1.5寸)。2寸対応の平板瓦が出たことで、緩勾配でも瓦が使えるようになった。
凍害・塩害は石州瓦(1,200℃焼成)、海岸線500m以内はSGLでも保証除外になりがちでステンレスかアルミ。豪雪地は滑雪性と雪止め設計。
化粧スレートは5〜10年ごとの塗装が前提で、足場代込みの生涯コストで比較すると金属や瓦との差が縮む。石粒付き金属は塗装メンテ不要。
各社が1990年代後半から2000年代前半にノンアスベスト化した際、十分な耐久試験なしに切り替えたため初期品に不具合が出ました。ニチハのパミールは層間剥離(ミルフィーユ状に剥がれる)と付属釘の腐食によるズレ・脱落が起き、塗装ができずカバー工法か葺き替えになります。コロニアルNEO、グリシェイドNEO、ザルフ、アーバニー、シルヴァス、レサス、セキスイかわらU(ノンアス版)も同じ系統です。
アスベストは2004年に1%以上含有が、2006年に0.1%以上含有が全面禁止されたので、2006年以降の建物はノンアスベスト確定。それ以前の既存スレートは調査コストが上乗せされます(撤去処分+1,800円/㎡)。見分け方は働き幅の切り欠き形状です。
出典:テイガク単価表、同 屋根材比較、パミール(石川商店)、アスベスト法規制史(CIC)。屋根材が30年持っても下葺材が10年で終われば意味がありません。そしてグレードを1ランク上げても、屋根全体での価格差は約1万〜2万円です。
| 種類 | 価格目安 | 耐用年数 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| アスファルトルーフィング940 | 約8,000円/巻 | 約10年 | 法令上の最低グレード(JIS A 6005) |
| 改質アスファルト(ゴムアス) | 約10,000円/巻 | 約20年 | 現在の事実上の標準 |
| 高耐久改質アスファルト | 約14,000円/巻 | 約30年 | マスタールーフィング等 |
| 透湿ルーフィング(高分子系) | — | 50年(メーカー訴求) | 屋根断熱・通気層設計とセットで機能 |
タディス ブラッサム等の瓦専用品。瓦桟のためのエンボス加工と通気。
粘着層付き(タディス セルフ カバー 0.6mm)。既存屋根の凹凸に追従する。
粘着層付き必須。多くの屋根材が「粘着層付ルーフィング使用時◯寸から」と規定している。
透湿ルーフィングを検討。ただし通気層設計とセットでなければ機能しない。
最悪の組み合わせは、SGLフッ素(30年超)+ルーフィング940(10年)です。屋根材の耐用年数に下葺材を合わせる、という一行が下葺材選びのすべてです。
もっとマニアな知識
公式LINEで、このページの換算表と屋根材比較表をPDFでお渡ししています。屋根以外にも、階段・外壁材・不動産の「マニアな知識」を順に公開していきます。
公式LINEで受け取る